55話

「は!?ちょ!ウトゥ!!」


お風呂上りに端末をチェックした翔颯かけはやてが珍しく声を荒げたから、ウトゥはベッドサイドに座り呼び寄せた。


「何を怒っておるのだ翔颯、此方へおいで」


ふすふすしながらも素直にお膝の上に座る翔颯。

よしよしって頭を撫でる。

可愛いのでキスをすると、ちょっとだけ翔颯の体から怒りが抜けた。


「ウトゥがSNSでバズってる!盗撮されてバズってる!俺のウトゥなのに!!俺とデートしてる時の盗撮で!!俺の!なのに!!」


でもまだ怒りが収まってない様子で、端末の画面を見せられる。


「ほう…どれどれ…、…、翔颯案ずるな」


覗いたそこに自分が映っていた。

しかも明らかに盗撮された物だった。

そしてそれをアップした者の文面から、失礼極まりない好意勝手に募られていた。


「あんずる!!こうぎする!つうほうする!うとぅのぜんぶおれのなのに!」


それは当然の感情だった。

翔颯のウトゥ。

ウトゥの翔颯。

こういう式図なのだもうずっとながく。

だから安心して欲しい。

ウトゥは翔颯の頬にキスをした。


「もうこの世に存在せん。今根絶やした」


「…ほんとう?」


「本当だとも、見よ」


不安気な翔颯の為に、ウトゥは端末の画面を指差した。

翔颯の大好きな艶々黒爪長い指。


「……SNSがなくなってる…!」


「此方を…杖化け物を軽んじたどこぞの馬鹿の所為、と声明もつけてある故今後は盗撮もされぬだろう」


「うとぅ、ありがと、すき、俺のっ」


「此方の最愛、怒りが静まってなによりだ」


ようやく翔颯から怒りも不安も消え失せて、ウトゥは安心して抱き付いてきた力のままにベッドに倒れた。

そして寝間着の中に手を入れて、翔颯からの口付けの主導権を奪い去り、揉んで昂らせる。








「…命知らずとはこの事か」


「俺…狙ったかー」


翔颯はなんでぇ?と首を傾げた。

実に可愛い。

この膝の上から何処にもやりたくない。


「ああ、愛くるしい、盗撮されても、翔颯は、愛らしいが其のすべて此方のモノゆるすまじ…」


だから。

杖化け物の番。

と、題されて盗撮された翔颯。

それをなんびともみることなかれゆるすまじ。


「どーすんのー」


めちゃくちゃ怒ってるーと、翔颯は呑気だった。

ウトゥが目立たなければそれでいー、という感覚だからだ。


「…も、した。もうない。あんずるな…」


「…、」


にっこりと、そう言われた翔颯は「わかったー」とウトゥにキスをした。

翔颯にはもした、のもがどのもかわからなかったからだ。

でもウトゥの案ずるな本当に案ずる必要が無い。

ので、意外と怒りが長引くタイプのウトゥを癒すべく、翔颯は自分から服を脱いだ。

そして色々、頑張った。

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