38話
でもどうしてか見てしまって困ったまいった。
だってだって、ウトゥが上着を脱いでいる。
そのままシャツも、ズボンも脱いでいる。
ぱ、ぱんつ、くろのちっちゃいやつなんだ、と、確認しちゃう。
そうしたらウトゥはもうすっかり裸で、それは、とても見ちゃいけない気がした。
だから視線を逸らして部屋の中、なるべくウトゥの方を見ないようにする。
言われていたとおりの古い壁紙と調度品が見えた。
乏しい灯りが室内照らす。
ちょうどよい仄暗さだからウトゥの身体が見えてしまう。
違う見ない。
寝そべってるベッドはフカフカでツルツルだ。
柄が不思議な布団と枕に身を沈め、見ちゃう。
あ、あ、着やせするタイプだったんだ。
何度か抱き付いて筋肉あるなとは感じていたけれど、すごいカラダだ。
見ないようにしたいのに。
見てしまった。
見てしまう。
滑らかな褐色の肌。
厚い胸筋割れた腹筋脇の鱗。
その先の下半身の様相。
「ぅ…と…」
綺麗という言葉では足りない美。
そういうひとがベッドサイド、身体の横に座ったきて、見ちゃいけない気がするのに見ちゃう。
それに、どうしよ、全然違う。
「翔颯…」
名前を呼ばれるの、嬉しいのに呼ばないでよってなる。
でも、低い声でかっこいいから反応しちゃう。
ああだめ見れない。
同性の裸なのに正視出来ない。
妖艶がすぎるウトゥの裸体に、翔颯は困っちゃってどうしようもなくなっていた。
体温が上昇し過ぎて参ってしまっていると、ウトゥがブレザーを撫でてくる。
翔颯はすぐ察し、ブレザーの前両手で隠した。
「あ、まって、おれ、ぬぐ」
脱がされるのは恥ずかしい。
でも脱ぐの恥ずかしい。
でも脱がされるのはちょっと困る。
でもなんで脱ぐのかな?
あ、えーと、熱くてわかんない。
「うと、ぁ、みせないで、からだ、かっこい、からぁ」
自分でと言っておいて翔颯が行動に移さないから、ウトゥが不信に思い顔を近付け覗き込んでくる。
裸のウトゥが近いのはまだだめ本当にだめ。
だめだめって言うばかりの翔颯に焦れてウトゥの指が動く。
「まって、まって、ぬぐ、から」
翔颯はその手を掴んで待ってってお願いしちゃう。
「お、おれ、ぬぐからまってぇ」
じっと間近で見つめられ、翔颯は心の準備をさせてと「な?ウトゥ、待って、な?な?」両手でシャツを弄ろうとした手を握り締める。
勿論それは愛らしかった。
ただ今のウトゥにはあまり通用しなかった。
あな珍しき杖化け物の溜息翔颯の鼻先かかる。
「減らず口、ばかり叩きよる」
「ぇ、ン…ぅ…」
翔颯の減らず口が杖化け物によって塞がれてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。