第28話、ソウハルとミキの母親との初対面
ミキの母親のいる故郷までは電車で約3時間程かかる。ソウハルはミキの母親に会って話をするのがとても緊張していた。
ソウハル「ミキちゃん、僕は前世では未婚で一生を過ごしたからこうやって挨拶をしに行くのは初めてなんだよ」
ミキ「そうなんだ。まだ、母にソウハルさんの年齢については話していないんだけど結構、年は離れているよって伝えといたから」
ソウハル「でも、これほど年が離れているなんて絶対に思っていないよね」
ミキ「うん、そうかもしれないね。でも、ソウハルさん全然見た目より若いし、なんとか私がフォローするわ」
ソウハル「ミキちゃん、ありがとう。ところでミキちゃんのお母さんは今、いくつなの?」
ミキ「私より20歳上だから55歳よ」
ソウハル「僕よりも若いんだね(汗)」
ミキ「私に任せて」
ソウハルとミキは電車内でこんな話をしていたら、あっという間に最寄りの駅に到着した。
ミキ「ソウハルさん、ここが私の故郷よ」
ソウハル「すごく長閑な街並みだね」
ミキ「ここから歩いて20分ほどで着くわ」
ソウハルとミキは話しながらミキの案内のもとミキの実家に到着した。ソウハルは緊張のあまり額からびっしょり汗をかいてしまい、事前に用意してきたハンカチで丁寧に汗を拭った。
ミキ「ソウハルさん、汗すごいわ。タオル持ってくるわ」
ミキ「あっ、お母さん、今、着いたわ」
ミキの母「ミキ、おかえりなさい。ところでお相手の方は」
ミキ「今、濡れタオル取りにいってるの。すぐに紹介するわ」
ミキは実家にある濡れタオルを持ってくるとソウハルに渡した。
ミキ「ソウハルさん、これで汗拭いて」
ソウハル「ミキちゃん、ありがとう」
ソウハルは額の汗を拭きとると、ミキにいわれてドアを開けてミキの母と初対面をした。ミキの母はソウハルのことをみた瞬間、「えっ(汗)」とビックリするような表情をした。
ソウハル「はじめまして。藤羽聡治と申します。ミキさんとは約7年前からお付き合いしています」
ミキの母はすぐに返事を返すことさえできなかった。
ミキ「お母さん、私とお付き合いしているソウハルさんよ。ソウハルさんとは年は離れているけどとってもいい方なのよ」
ミキの母は戸惑いの表情をしながらソウハルに挨拶をした。
ミキの母「ミキの母のアツコです。ソウハルさんはおいくつなんですか?」
ソウハル「60歳です」
ミキの母は憮然とした表情をした。気まずい雰囲気が流れ、ミキは咄嗟にフォローに入った。
ミキ「お母さん、絶対に信じてもらえないと思うけど、ソウハルさんは1年経つごとに1歳若返っているのよ」
ミキの母「ミキ、あなた何、わけのわからないこといってるのよ」
ソウハルも何か言おうと思ったが、この雰囲気の中で何をいったらよいのか分からなくなってしまい言葉が出てこなかった。
しばらくの間、沈黙の嫌な空気が流れていったが、ミキがいった。
ミキ「私は始めてソウハルさんと出会ったのが、約15年ほど前だけどその頃に比べるとソウハルさん遥かに若くなってるのよ」
ミキの母は依然として憮然とした表情を崩さなかった。何か言わなければと思ったソウハルは慌ててこういった。
ソウハル「ミキさん、お母様が信じられないのは当然だよ。私は今から20年以上前に墓から蘇ったのです。この写真をご覧になってください。これが私の約20年ほど前の写真、これがその10年後の写真、そしてこれがミキさんと付き合い始めた頃の写真でこれが今現在の私なんです」
ミキの母はソウハルの写真を見て驚いた。ソウハルが若返っているのは間違えなかった。
ミキの母「確かに若返っているわね。でも、まだ私には信じられないのよ」
ミキ「ソウハルさん、写真も準備してくれてたのね」
ソウハル「忘年会の時にアツオさんがみんなの写真を撮ってくれてたからね」
ミキの母「遠くからはるばる来られたのでまず食事にしましょう」
ソウハルとミキとミキの母親はテーブルに座って、ミキの母が用意してくれていた食事を食べた。
ソウハル「こんな御馳走を用意していただきありがとうございます」
ミキの母「食べてください」
ミキ「実家でこうやってお母さんと食べるのも久しぶりだわ」
3人でいろいろ話をしながら料理を食べた。まだ、ミキの母は半信半疑でミキとソウハルとの結婚を認める感じではなかったが、ソウハルとミキは一度訪問しても難しいだろうってことはわかっていた。
ミキ「お母さん、明日仕事があるから私たちはこれで帰るわ」
ソウハル「御馳走様でした。それでは失礼いたします」
ミキの母「気をつけて帰ってくださいね」
ソウハルとミキは家を出ると電車に乗った。
ソウハル「まだやっぱり今すぐに結婚するのは難しいそうだね」
ミキ「仕方ないわ。何度か母のところに行きましょう」
ソウハル「そうだね。でも、写真は用意しておいて良かったよ」
ミキ「確かに写真をみた後、少しは母も心をひらいてくれたみたい」
ソウハルとミキはそんな話をしながら帰宅した(続)
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