もしも自分の人生が逆戻りしたら・・・

@hiropone0513

第1話、その男の名は「藤羽聡治(ふじはそうはる)」

森や畑の多い田舎町は人口も少なく、公園やお墓の多いところだった。


田舎町ということもあり、住んでいる人の多くは高齢者だった。


人数が少なかったこともあり、地域住民同士で仲が良かった。


地域住民同士でコミュニケーションを図ることも多く、ダイスケさん、ケイイチさん、カズヒコさん、アツオさんの4人で集まって将棋をしていた。


カズヒコ「昔、藤羽聡治というこれは強い真剣師がいたよな」


ケイイチ「そうだね。彼の強さは只者ではなかったよね」


ダイスケ「彼は玉と飛車2枚、歩9枚で僕が飛車、角抜きで対局したけど全然、歯が立たなかった」


アツオ「ダイスケさん、このメンバーの中では一番強いけど全く歯が立たなかったもんな」


カズヒコ「彼がもし、生きてたらもう一度、みんなで将棋やりたいな」


ケイイチ、ダイスケ、アツオは「そうだね」と頷いた。


ある日、4人で藤羽聡治のお墓に行き御参りをした。4人は御参りをしているとき一瞬、「えっ」と驚きカズヒコが呟いた。


カズヒコ「今、お墓が一瞬、動かなかったかい」


アツオ「確かに。動いたように見えた」


ケイイチ「いやぁ、そんなバカなことあるかい」


ダイスケ「間違えなく動いたよ。もしかしたら・・・」


4人の中では最も霊感の強いダイスケは信じられないといった表情をしていた。


ダイスケ「まさか、聡ちゃんの呪いじゃないか」


ケイイチ「それはないって」


カズヒコ「おやっさん(ケイイチ)、ひょっとしたら呪いかもしれないよ」


アツオ「霊感の強い、ダイちゃんがいうなら・・・」


そんな話をしながら4人はお墓を後にした。


その日の夜、田舎町で大きな地震があった。震度6近くの地震で倒壊する家もあった。ただ、運よく倒壊はあったものの田舎町では死亡者が出なかった。


藤羽聡治のお墓は倒壊の影響でお墓が崩れ、突如、お墓の中にあった遺骨が地上に出てきたのだ。


遺骨が突如、肉体に再生していき、現れた人物は死ぬ直前の藤羽聡治そのものの姿に変身した。何が起こったのか知る由もない藤羽聡治だったが、住んでいた自分の家に戻ろうとしたがすでに家はなかった。困った藤羽聡治はその日は公園で寝泊りをした。


翌日、藤羽聡治はよく将棋をやっていた会館に行ってみると誰もいなかったので、会館にあった将棋盤で一人で棋譜を並べた。将棋を久しぶりにやったなって思った。実際、藤羽聡治は亡くなってから10年ぶりに地上に戻って将棋をしているのである。


その日、ダイスケ、ケイイチ、カズヒコ、アツオの4人が集まり会館に行ってみると、会館からは駒音が聞こえてきた。「ビシッ」と響き渡る駒音が聞こえてきてダイスケがビックリするような表情でいった。


ダイスケ「この駒音は間違えなく聡ちゃんの駒音だ」


アツオ「確かに」


カズヒコ「まさか聡ちゃんが生きているのか」


ケイイチ「そんなバカな。たぶん誰かがきて将棋を指してるだけだよ」


アツオ「うちら4人しかこの場所で将棋をやる人はいないよ」


カズヒコ「とにかく行ってみよう」


4人は駒音が聞こえる方へ行き、そっと覘いて見るとそこには死ぬ直前の藤羽聡治が一人で将棋を指していた(続)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る