Day13『流しそうめん』
滑らかに落ちてくる生糸は、あの人と出会った砂浜に寄せる波模様のように美しくて眩くて。膝まで浸かり、燻る熱を冷ましたかった自分を思い出した。
頬撫でる北風と箸を梳く水音。
肌が、耳が、現在と過去を掻き混ぜていく。
あの冬を、今の夏を。
揺蕩う記憶ごと喰い尽くしてしまえたらいいのに。
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