☆ どちらかがコイントス10回連続で同じ面をだすまで出れない部屋

「今度のお題は?」

「なんだろうね?」

 またもや真っ白な部屋に入る。今回のお題は……マジか。

「コイントス10回?」

 アズサの目から光が消えた。こう見えて意外とコイントスできなかったりするのだろうか。

「これならできるかも」

「え? 望にそんな器用なことできるの?」

 思った以上に驚かれた。そこまでのことだろうか。

「授業中に暇だったから練習して、多少はできるようになった」

「ちゃんと授業を受けなさい」

 呆れた目で見られた。でもこれはつまらない授業をする先生が悪いと思うのだ。

「それで。10回連続とかできるの? 単純に考えたら確率は512分の1だよ」

「ふふ。私は素早くコイントスができるの。だから512分の1なんてすぐ出るよ。それに……」

「それに?」

「ガチャで狙ったキャラを100%手に入れる人間だよ! 確率に愛されし人間と言っても過言ではない!」

 アズサの目が猫に立ち向かうネズミをみるような、蔑んだ目になってきた。どうしてだ。

「まあとにかく、私の任せてくれたらすぐに出れるよ!」

 私はコインを手にとる。

「まずは、えいや!」

 はじめは表。

「なら、これで……ほいや!」

 また表。

「まだまだ行くよ」

 表。表。表。

「望、意外とできるの?」

 表。表。表。表。

「意外とは失礼な。ラスト一回行くよ」

 結果は……裏。

「そこ失敗する?」

「失敗したねえ」

 アズサの気持ちもわかるが難しいのだから仕方ない。

「今度は多分うまくできるよ!」

「何の根拠もなしによく言うね。私も同時にやるから、一緒に頑張ろうか」

 そうして再度挑戦。結果は私が5回連続、アズサは2回連続で止まった。

「思った以上に難しいね」

「でしょ! 私はすごいんだから」

「じゃあ頑張って。私は望に託すよ」

「うん。任せて!」

 そうして挑戦すること数十回。私はようやく10回連続成功を達成した。

「やっとだー」

「ありがうね、望」

「どういたしまして」

 ゆっくりでも確実に出口へ近づいているのを感じながら、次の部屋へ向かった。

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