可逆式TS魔法少女おじさんは魔法少女を恨んでいる
エテンジオール
その1
この小説は、作者が飲み込んだプリキュアと、胃の中で消化不良を起こしていた性癖が混ざった吐瀉物です。ご注意ください(╹◡╹)
序盤は展開遅めです(╹◡╹)
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守ってきた平和を、日常を失うのは簡単なことだ。ほんの少しだけ、努力をやめればいい。それを維持するために使っていた労力を惜しむだけで、簡単に現状なんてものは変えることが出来る。もっとも、それによってもたらされる変化なんてものは得てして良くない変化だけなのだが。
その事を知っていた僕は、自分で言うのもなんだが努力を惜しまなかった部類になるだろう。少しでもこの残酷な世界に、無慈悲な世界に抗うために、僅かであってもより良い未来のために人生をかけてきた。
世界中のみんなは諦めた。僕は神様ではなかったから。目に映る範囲も諦めた。僕は英雄ではなかったから。手の届く範囲も諦めた。僕は特別ではなかったから。ただ、手の中にあるものだけは、二度と離さないと誓った。それを落とさないために、それ以外を諦めたのだから。
守ってきたのは、手の内にあったものと、手の中に飛び込んできたもの。それだけ守れれば、満足だった。満足だったのに、それは勝手にこぼれ落ちてしまう。指の隙間から流れる水のように、どんどん僕の手から離れていった。
守れたものは、ほんの僅かな分だけ。こぼれ落ちたものを再び捕まえようとして、伸ばした手には一つしか残らない。そして、一番大切なものを失った僕は、自分の手に何かが残っていることにすら気付くことが出来なかったのだ。
世界の天敵、魔物が現れて、世の中のあらゆるものを壊し始めたのは、今から20年は前のこと。現行の兵器が意味をなさず、ただ一方的に狩られるだけの人類に現れた救いは、二人の少女たちだった。
人外じみた力で魔物を屠り、人々を助け続けた彼女らは、その不思議な力やフリフリの衣装によって、魔法少女として世に知られるようになる。遭遇したらすぐに死ぬか、苦しんで抵抗して高確率で死ぬかの二択と言われていた化け物を、フリフリ少女が一方的に殲滅しているのだから、知られないわけがない。最初はフェイクニュースや都市伝説、妄想の類として、そして次第に実在する唯一の希望として、彼女たち二人は世界に知れ渡った。まさしく伝説の戦士である。
けれど、伝説は伝説だ。生ける伝説なんて言葉は、ほぼ全ての伝説が生きていないからこそ成り立つ言葉。つまり、伝説の戦士魔法少女たちは、伝説として消えてしまった。人々に、少しだけ平和になった世界と希望を残して。
というのは、いまどきのこどもなら誰もが知るおとぎ話だ。学校の教科書にも載っていて、少し上の年代であれば何度もニュースで見てきたような実話なのだけれど、その当時を生きていなかった子供たちからすると、過去の話もおとぎ話も対して変わらないものだろう。だって、どちらにしても存在しないのだから。
代わりに、あのころの人々が魅せられたように、今の子供たちから人気を一身に集める存在がいる。そう、魔法少女だ。また魔法少女かと思うかもしれないが、魔法少女にしか魔物を倒すことが出来ないのだから、しかたがない。最初のふたりが残した希望、世界中で、わずかながら生まれるようになった魔法少女のみが、今の人々にとっての希望、救いだ。
たとえそれが、二人と比べてどれほどに未熟で、儚いものであったとしても。魔物に対抗できるのは魔法少女しかいなくて、つまり今絶賛魔物に運ばれている僕を助けることが出来るのは、魔法少女しかいないのだ。
鳥と老婆を掛け合わせたような不気味な魔物、ハルピュイアに腹を掴まれて、突き刺された腹から中身をお漏らししながらそんなことを考えるのは、ただの現実逃避だ。大切な人たちを失って、生きる気力を失った。そんな状態で命の危険があるお仕事なんかに励んだのだから、ちょっとした事故に巻き込まれて命を落とすのもしかたがない。
“私がいなくなったら、みんなのことをお願いね”
失った人の、最後の言葉を思い出す。自分は大丈夫だ、なんて言いながら、その言葉を残して帰ってこなかった人。もう何も言ってくれなくなった人。その言葉があったから頑張らないとと思って、その結果がこれだ。あの言葉がなければ、僕はこんなことにはなっていなかっただろう。こんなふうに、死ぬような目には合わなかったはずだ。
チクリと、心が痛む。少しだけ、気力が湧いてきた。枯れたと思っていた感情が湧き上がってきた。
“あなたは戦わなくていいの。危険なことは全部私がやるから、任せてほしいの”
失った人の、かつての言葉を思い出す。僕が特別じゃないから特別な自分が守ってあげると。傲慢とも言える言葉を吐いて、それを許されるだけのものを持っていた人を思い出す。僕に無力さを痛感させるその言葉がなければ、僕はきっとこの道を選んでいなかった。
ジクリと、心が痛む。膿のように滲み出てきた気力がまとわりつく。ドロリとした感情が、どこからか湧き出てくる。
“ぜったい、ずっと一緒だよ。勝手にいなくなっちゃったりしたら、やだよ”
失った人の、ずっと昔の言葉を思い出す。この言葉があったから、僕は選んだのだ。自分が何を守るのか、何を諦めるのか。大事なものほどすぐになくしてしまうから、手放してはいけない大切なものを決めたのだ。
ギリリと、心が痛む。湧き出てきた気力が、まだあがこうとさせる。魔法少女にしか倒すことの出来ない魔物を相手に、少しでも何かをしようとする。重たい、とても強い感情に突き動かされて、痛み続ける頭で思い出す。
“何かあったら、どうしようもなくなったら、これを飲むといい。上手くいけば事態が改善するだろう”
上手くいかなければそうだな、苦しまずに終わることくらいはできるだろう。そう言った友を思い出す。まだなくしていない、地上に置いてきたたった一人の友人。まともな人間ではないが、能力だけは信用できる相手だ。あいつがお守りと言って持たせたのだから、きっとなにかの効果はあるはずだ。小瓶に入ったトロリとした琥珀色はまるでウィスキーだが、流石に、死ぬ前に酒を飲めば少しは心が軽くなるだろう?なんていうような奴では……あるかもしれない。けれどそれならさすがに僕の好きな酒をいれてくれるはずなので、違うと思っていいだろう。
気力は湧いても血は湧かないので、頭の回転がどんどん遅くなっていく中で、小瓶を開けようとする。お腹に穴が開いているせいでうまく力が入らずに、次があったらもっと使いやすい形にしてもらうことだけ決めて、中の流体を口の中に流し込むと、焼けるような熱を感じた。
魔物に運ばれている最中、小瓶は飲みずらいという一つの知見を得て、生かす機会があればいいなと思いながら、体勢や状況もあってそこそこ口から溢してしまったことを反省する。これでもし、必要量に足りていないとかで無駄になってしまったら、僕も友人も、あまりにも報われない。
内側から溶かされているような感覚、蒸留酒をストレートで飲んだ時の熱を、何倍にも悪化させたような感覚を胃の中に保ちつつ、先ほどまで飛びかけていた意識がましになっていることで、御守りの効果が多少でもあったことに、まず安心する。胃が熱くなった時点で懸念していた、実は本当に酒だったというオチは回避できたわけだけれども、そのことを素直に喜べないくらいには全身が痛い。
胃から始まったはずの痛みが全身に巡って、体の真ん中から次第に感覚がなくなっていく。本当に溶けて、中から消えているんじゃないかと疑ってしまうような痛みと喪失。中から作り変えられていくかのような、嫌な感覚。
一体何を渡されて、何を飲んでしまったのか、考えるのは恐ろしいが、一度飲んでしまったものはもう今更どうしようもない。飲まなかったことにはできないし、吐き出したところで、この変化が途中で終わったりすると、ろくなことにはならないという確信がある。
どうしようもなくなった中で、諦めて変化を受け入れる。まるで体が作り替えられてしまったかのような違和感を覚えて、気持ち悪さを感じていると、それが勘違いではないことがわかった。先程までお漏らししていたはずの内臓がしっかり収納されていること、ハルピュイアが先程までよりも大きく見えること。そのどちらも、先程までとは明らかに異なる状況だ。
意味がわからない中で、ふたつわかったことがあった。ひとつは、なぜだかわからないけれど、先程まであったはずの怪我は消えていて、僕自身が何故か少女みたいに小さい体に変わり果ててしまっている。
地上から、棒状の何かが飛んできて、ハルピュイアの頭を消し飛ばす。こんなことができるのは、魔法少女だけで、それはつまり僕が何もしなければ、きっとまだ生きているうちに魔法少女から助けられていたということになる。
人の身を空に招待する旅路の主催者が突然消えたことで、僕は自由落下にしたがって落下することになった。その時に感じた感覚が、わかったことのもうひとつ。
なぜかは分からないけれど、恐怖を感じなかった。命綱なしで万事ジャンプしているのに、大した問題ではないとわかった。余計なフィルターを除いたみたいに、スッキリとした頭では、自分がどうすればいいのか、すぐにわかった。
「マジカル、オルタレーション!」
手の内で、パッと光りながら手の中に落ちてきた真っ赤なリンゴ、四肢や顔の付いたそれをつかんで、そのままかぶりつく。何か話しているそれを齧りとって、そこから噴き出したのは真っ赤な液体……ではなく、キラキラした不思議な光たち。
光に包まれて、小さくなった四肢にお似合いなかわいらしい意匠の衣装が現れる。身体中を包み込んだ光が、泡のように弾ける度に、少女に変わってしまった棒の体を、白くふわふわした衣装が包んでいく。
自分の意思で何もしなくても、体が、口が勝手に動き出す。自分の存在を世界に刻み込むかのように、世界からそういうものとして刻み込まれているかのように、自然と体が動いて、言葉が思いついた。
けれど、それじゃあダメなのだ。心から溢れ出す、幸せの気持ち、綺麗な真っ白の気持ちを、真っ黒で汚い感情で塗りつぶす。それに合わせるかのように、身にまといつつあった白い衣装は純黒に染ってしまった。
真っ黒になった服に身を包んで、自由落下の力を押さえる。なぜそれができるのかは全くもって理解のできないことであったが、大事なのはどんな結果を残せるか。落下死するだけだったのが、無事に地上に戻ってくることが出来た。それだけわかっていれば十分で、魔法少女に変身できたから無事だったのだと理由までわかっているので、十二分と言っていい。
ふわりと加速度を軽減して、地面に降り立つ。着地したのは、たくさんの魔物たちが溢れかえる場所。最初拐われた時は魔物による災害の中心地から離れたところにいたはずなのだが、いつの間にかこんなにも近いところまで連れてこられていたらしい。空にできる世界の割れ目から現れて、そこに人を連れて帰ろうとするのがハルピュイアの習性だから、当然と言えば当然かもしれないが。
さて、どんな理屈かはわからないが、自分が魔法少女になったことはわかる。その原因と思わしき友人にはのちのち聞かなくてはならないことがたくさんできたが、それはあくまで今の状況にひと段落が着いてからの話。まさか人々が襲われているのに、正義の味方の魔法少女が敵前逃亡をして見せるわけにもいかない。許されるか許されないかで言えば許されはするのだが、魔法少女になるための素質の問題で、魔法少女になれるような人間は許されるからと言って人を見殺しにはできない。すくなくとも、ついでや一手間、で助けられるのであれば、自然とそうしてしまうくらいの善性を持っているものなのだ。
性別という大きな壁は超えたはずなのに、その原則には則っていたらしい僕も、人を助けるのは当然のことという認識がある。まあ、変身前から大した力もないくせに魔物に立ち向かう無謀な連中の一人だったのだ。魔物に対する復讐心と、人々の平和を祈る心であれば人並み以上に備えていてしかるべしだろう。
襲われている人々を助けたいという少しの思いと、今まで好き放題させて、時間を稼ぐので精一杯だった魔物を蹂躙してやりたいという欲求に任せて、魔法少女としての力を解放する。魔法少女一人毎に付けられる名前と対応する、固有の魔法の力。僕の持つそれは、重力を操作するというもの。単純だけど強力で、間接的だけれど何にでも効く便利な魔法だ。使う前からなんとなく効果がわかるのは不思議だが、そういうものだと納得するしかない。魔法少女が目覚めるのは多くの場合緊急事態で、すぐに戦えなくては変身できても死んでしまうだけだと唱えたのは誰だったか。
簡単に言えば、産まれたばかりの子鹿が自力で立てるのと一緒である。そこに意味を求めても、偉い先生くらいしか解き明かすことは出来ないし、魔法少女に関してはいつどこで目覚めるのかがわからないので観察しようもないのだ。真相は神のみぞ知る。僕は無神論者だが。
ともあれ、僕は魔法を使った。対象は我が物顔で空を飛びまわるハルピュイアで、結果は墜落。地上を歩く人間ですら、重力が強くなれば立ち上がれなくなってしまうのだ。空を飛んで、一定の高さを保たなくてはならない魔物が、突然高重力の環境に突然放り込まれて、飛んでいられるはずがない。
落ちてきたハルピュイアが、地面に生臭く汚い花を咲かせる。連れ去られていた人間と、少し前まで人間だったもの、その中間のもう時期人間ではなくなるものは、重力を軽減することでふわりと地面に着地させた。間接的にとはいえ生きている人を殺すのも、死にかけの人にとどめを刺すのも、死者をさらに壊すのも、気が引けることだったから。どうしても必要なのであれば迷わないように訓練は受けてきたけれど、だからといってやりたいわけではない。
空にさらわれて、地上に戻ってきた人達のところに駆け寄るのは、僕と同じ格好、いや、先程までの僕と同じ格好をした、魔物対策部隊の人々。魔物を倒せるのは魔法少女だけで、そうでない一般人には時間稼ぎ程度しかできないのに、その時間稼ぎに命をかけているような馬鹿な連中だ。かくいう僕もその一員で、御守りがなければ命を落とした大馬鹿者になっていたのだから、当然これは自虐である。職場で言ったらみんな空笑い間違いなしだな。これを本心から笑える人間を、僕は友人しか知らない。
フルフェイスのヘルメットに、ごつい装甲服をまとった男たちを見ると、彼らには僕が見知らぬ魔法少女に見えているようで、短く敬礼をして離れていく。全身緑の蛍光色なのは目がチカチカするが、血の汚れがわかりやすいという利点があるのでしかたがない。目立つ色だと魔物から襲われやすく、一般人への被害を減らせるのもすばらしい。人間らしさを感じられないようなデザインといい、緊急時以外は外に声が聞こえない仕様といい、使い捨ての志願兵にあたえるには実に合理的な装備だ。流石は僕の友人が考えただけのことはある。
そんな彼らに、一方的に仲間意識を感じながら、僕がすることはそこらに散らばる魔物たちの退治。対応部隊の彼らも頑張ってはいるのだけれど、やはり倒せないことにはどうしようもない。僕以外の魔法少女、ここらを拠点にしている魔法少女たちもいるのだけれど、一番殲滅力に長けた子はつい先日戦えなくなってしまった。残っているのは、器用貧乏タイプの魔法少女と、トリッキーな戦い方をするサポート枠。戦いの中核になる一人を失った彼女達の戦果は、廃墟になった街並みを見るに芳しくないようだ。
合流して協力するか、今のまま好き放題動くべきかを考える。合流の利点としては手厚いサポートを受けられること。アタッカーがいない現状ではあまり力を振るえていない二人の魔法少女たちだが、他者を強化することや弱体化させることには長けている。僕が合流すれば、間違いなく魔物の殲滅はより効率的に進むだろう。
好き放題動くことによるメリットは、気負わずに過ごせることだ。メリットは、ただそれだけ。これだけ比べればどう考えても合流するべきなのだが、僕には少し、その2人の魔法少女に会いたくない理由があった。
とても個人的な、おおよそまともな大人としては優先するべきではない理由だ。このような事態では好き嫌いとか自分の気持ちとかは考えずに、まず効率よく動くべきなのだ。ましてや今のように、人の命が関わりかねない時は尚更。
そこまで理解した上で、そうしなくていい理由を考えてしまう。もう被害はだいぶ広がっているから、一分一秒を急いだところで大して被害は変わらないとか、そもそもどこにいるのかわからないし、見つけられたところですぐに協力できるとは限らないとか。
自分の中でもすぐに反論を思いつけるような、理由と呼ぶのも微妙な理由だ。一人でも多くの人を、ひとつでも多くの建物を残せた方がいいし、魔法少女になれるような少女たちはみんな善良なので、見ず知らずの人とでもすぐに協力できるだろう。いや、そんな広い括りで語らなくとも、今いる二人の人柄はよく知っている。
とはいえ、人間というものは追い詰められるとおかしなことをしてしまうもので、会わなきゃいけないとわかっていた僕はそれを避けるために、開き直ってしまった。どんな理由があるにせよ、今はどうしても会いたくない。正確には、合わせる顔がない。
「……あなた、もしかしなくても魔法少女よね?」
不意に、声が聞こえた。魔物が蔓延る中で平静を保っている声、この時点で候補はだいぶ絞れるが、ここに年若い少女の声という要素を足せば、その正体はほぼ確定だ。そんなふうに現実逃避せずとも聞き覚えのある声なので、最初からわかっているのだが。
会いたくなかったから、開き直るなんて大人として情けないことまでして、避けようとした。そんな二人のうちの一人、紫色の方の魔法少女が、僕の方を見ながら声をかけてくる。僕に、話しかけている。
返事をしないわけにはいかないだろう。ただ、普通に会話をして、和やかに終えられる気がしない。向こうからは僕だとわかっていなかったとしても、僕には彼女が誰かわかっているのだ。その姿を見てしまうと、自分の中でくらい感情が刺激されるのがわかる。
僕にできたのはそれが表面に出ないように抑え込むことと、なるべく関わろうとする気を削ぐために、淡白かつ冷たい態度をとること。特に何かを意識せずとも、漏れ出す感情だけでそれが表現出来たのは、嬉しくない計算違いだ。
そのまま一方的に別れを告げて、距離をとって魔物を倒す。僕に対して何か言っていた気もするが、それをしっかり聞けるほど、僕は冷静ではなかった。
癇癪を起こした子供のように、力を振るう。その先が魔物だからまだいいものの、到底大人のすることではない。体が魔法少女、少女になったことで精神まで変質してしまったのかと疑いたくなるレベルだが、思考回路的にはあまり違いがないようなので、また別の理由なのだろうか。
変身した時から、ずっと腰のポーチの中で喋っている何かを、軽く叩くことで黙らせる。今の僕には、対処しなければいけないものが多すぎた。自分が魔法少女になったことすら、まだ実感を持てないのだ。後でいいことは後回しにする。
魔物が現れたことによって、彼誰時に染まっていた空が正常な青さを取り戻したのは、それから10分後のことだった。
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