赤い糸を切ってから
@AI_isekai
赤い糸が引き千切られた
強く結びついて離れないと思っていた赤い糸は、車に引き千切られた。
彼女の心と僕の心を結んでいた赤い糸は、唐突に引き千切られた。
――刹那
目の前で、車に轢かれそうになっている人を見た。
僕の彼女は、その人を助けようとしたのか道路に飛び出た。
僕は、必死に止めようと手を伸ばした。今まで出したことのないほど大きな声で叫んだ。
それでも、彼女は歩みを止めなかった。
必死に走って、その人を突き飛ばして自分が代わりに車に轢かれるのを望んでいるように死の間際、彼女は笑っていた。
いつも僕に見せる満面の笑みを、死の直前でも浮かべていた。
僕は、どうすればよかったんだろう。
もし、僕が彼女を止めれていれば。
もし、彼女が走らなければ、
いや、もしあの人がいなければ――彼女も僕も幸せに過ごせていたはずだ。
僕の顔は、酷く歪み。目の前で、飛び散っている彼女の脚や腕を眺めることしかできなかった。
あぁ、あの人がこうなっていれば――良かったんだ。
"俺"は気が付くと、人を殺していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます