第151話 価値
わたしは山の小さな木
どうも人間達にしたら価値があったみたいだ
へんてこりんな狭い鉢に閉じ込められて
運ばれた
そして、有名な職人とか言うじいさんのところへ来たの
じいさんはこれはいいと嬉しそうだったけど
わたしはやだった。
わたしのからだを無理矢理に針金でおかしな
風にねじあげる、あっち、こっち
いたい、いたい
外しておくれよぅ
じいさんはそれを見てご満悦だ
しばらくしたら、じいさんは針金を外した
うむうむ、これは良い姿になったのう
周りを見たら、みんなヘンテコに曲がった
木が並んでた
わたし、腹がたったわ
だから、毎日、毎日
ぐぐぐぅー、ぐいぐいいーと
からだを元にもどそうとした
じいさんは木を探しに出かけてたから
時間は充分
戻ってきたじいさんはわたしを見て驚いた
ありぁまあ
ふんっ、ざまあみろ
じいさんはあはははと笑って
そうか、そうか、お前は真っ直ぐに
天まで伸びたいんじゃな
なら、そうしなさい
じいさんは、わたしを庭の土に埋め変えてくれた
大きくなれ
天まで大きくおなり
じいさん、ありがと
わたし、盆栽にはなれないんだ
向いてないんだ
価値はないかもしれないけど
それがわたしらしいんだよね
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