第104話 ニンフ

南の島の人魚姫に出逢った。


人魚姫は僕の事が好きだったみたい。

でもさ、僕、ニンゲンだよ。


そんな事はどうでもいいの。

好きってそういうもの。


僕もだんだん人魚姫が好きになっていった。

ふたりで探す夜の海辺はこころが

静かに燃えた。


人魚姫は僕とずっと一緒にいたいと言う。


でも、ニンゲンと人魚だよ。

そう言えば、人魚姫は笑った。


あのね、私がニンゲンになればいいんでしょう?

それか、貴方が人魚になればいいんじゃない?


僕は迷った。

ここで会う人魚姫が好きなんだ。

ニンゲンになったら好きでいられるかな。

人魚姫だって同じじゃないのかな。



僕は海辺に行かなくなった。

だけど、思い出が僕を揺さぶる。


海辺に行けば人魚姫はいるだろう。

会いに行けばいいじゃないか。

だけど、その先、、。


僕は臆病風に今日も吹かれてる。


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