第4話:冒険者ギルドに登録する

孤児院がダメなら、他の方法を考えるだけ。

何も孤児院に入ることが生活をしていく上で必須なことじゃないんだよ。


普通に自分で働いてお金を稼いで生活しても良いわけだ。

とは言え、子供でも出来る仕事は少ないんだよ。

住み込みの見習いとかしかないと思う。

お金はほとんどもらえないと思うけど、衣食住が確保できれば問題ないかな?


まずは生命の危機を脱出すること。

細かなことは余裕ができてから考えればいいんだよ。


この街はおろか、どこの街に行っても知り合いはいない。

ならば当面はこの街を生活の拠点にするのがよさそうなんだよ。


他の街の場所も知らないし、移動手段は徒歩しかない。

とても徒歩で隣り街や、それ以外の街に行けるとは思えないんだよ。


私の素性を確認するならもっと大きな街、例えば王都とかに行くのもありかもしれない。

どれくらい遠いのかは知らないけど、おそらく馬車での移動とかになると思うんだよ。

だとすると当面の目的は王都までの旅費を稼ぐことかな?


いくらくらい必要なんだろう。って、その前に生活の基盤を整えないと。

まずは普通に生活ができて、そこそこお金をためて、

それから馬車で王都に向かうんだよ!


王都じゃなくても妖精の住む森とか、

他にも候補があるかもしれない。

お金を貯めつつ、次の目的地を決めよう。

これといった候補が無ければ王都を目指すことにしよう!


そういうわけで、まずはお仕事。

カインズさんのお店で雇ってくれないかな?

「ごめんよ。うちの店で働くとなると基本力仕事になるんだ。荷物の上げ下ろしとかね」

うん、無理だ。重いものは持てそうにない。

まあ、しょうが無いよね。


お仕事を探す。条件は私でも出来る仕事。

重い荷物の運搬とかは出来ないと思うんだよ。

カインズさんのお墨付きだ。

当たり前だけど、書類仕事も出来ないと思うんだよ?

出来るのは単純な作業だけだと思う。

ただし、腕力やスタミナは期待出来ない。

そうすると出来る仕事なんかないのでは?


そもそも今までどうやって生きてきたんだろう。

何にも覚えていない。高級な布にくるまれていたって事は貴族?

いまいち貴族の暮らしというものがピンとこないんだよ・・・


門衛のザックさんが言うには、冒険者が良いらしい。

冒険者といっても別に冒険をするわけではないんだよ。

確かに、魔物の討伐などがメインの仕事だけど、

護衛や素材の採取、その他いろいろな雑用もあるらしい。

言ってみれば何でも屋みたいなものらしいんだよ。


依頼する人がいて、その依頼を受ける人がいる。

それらを取りまとめているのが冒険者ギルドというものらしい。

で、冒険者になるにはギルドに登録が必要なんだよ。


ギルドに登録するにもお金が必要。値段は銀貨5枚(5,000円)。

これはカインズさんが払ってくれるそうだ。

服もくれたし、ご飯もくれたし、感謝するしかないんだよ。


冒険者としてギルドに登録すれば、ギルドカードがもらえる。

ギルドカードは身分証明書としても通用するんだよ。

これで街への出入りが出来るようになるんだよ。


ギルドカードを持っている時点で孤児院には入れない。

というよりも入る必要性がなくなる。

身寄りが有る無いは別として、1人の生活基盤を持った人として扱われるからね。

別に孤児院に頼るつもりはなかったから、何ら問題は無いんだよ。

あくまでも住まいを確保する一つの手段として孤児院を検討しただけだからね。


いきなり家を借りるのは無理として、宿屋に泊まるとか、

仕事をして、その収入で住むところを確保する。


それにギルドに登録すれば自分の冒険者としての情報がわかるらしい。

もしかすると、そこから私の身元が分かるかもしれないし、

そうでなくても、何らかのヒントは得られるかもしれないんだよ。


そういうわけで、冒険者ギルドにやってきた。

入り口を入って正面に各種手続きの窓口がある。


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


とりあえずカウンターに並んで順番を待つ。

「お嬢ちゃんはどんな御用?」

新規登録をお願いする。

「新規登録ですね、登録は10歳からになりますけど・・・」

ん?年齢制限?

私は何歳なんだよ?

名前がわからないくらいだし、年齢だってわからない。

もしかして登録出来ないかもしれないんだよ?


記憶が無くて名前も年齢もわからないことを説明する。

「じゃあ、登録できるかどうかは置いておいて、確認だけしちゃいましょう」

とりあえず登録用の石版を試してみましょうとのこと。

石板に手をのせると、

名前や年齢は石版に表示されるらしい。

いよいよ私の秘密が明らかになるんだよ!

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