彼女と別れたと、毎日手紙を送っているアイドルに送った。

少し復活したエアコン

第1話

路上ライブをしているが誰も私の歌を聞いてくれない。

 中1から始めて1年経つ。なのに客は全く居ない。

 

 許可を取った時間がまだあるのに諦めてしまいまそうになる。

 そんな時だった。

 「お姉ちゃん?歌うのやめちゃうの?」


「えっ?」


私の前に小さな男の子がいた。

  

 さっきまでベンチで座ってて、迷子か誰か待っているのかと思った。


 「私の歌聞いてたの?」


「うん!すごい良かったよ!」


まだ嘘がつけるような歳ではなさそうだ。


そして、私の歌を鼻歌で歌っている。そして急にやめてしまう。


 「あぁぁ」

 嬉しすぎて、その子の鼻歌が終わることに思わずショックを感じるほどだった。


「ねぇ、この曲もう一度歌ってよ!」


 初めての客、初めてのアンコール。


「・・・うん!!」


ーーーーーーーー

 その子は私の許可されている時間が終わるまでリズムを取りながら楽しうに聴いてくれた。


 「ねぇ、もし良かったら、来週もやるから来てくれるかな?」

 

 「絶対行く!!」


ーーーーーーー

 そして、路上ライブの時間にもうすぐになる。


 あの男の子はまだ居ない。


 もしかしたら、約束を忘れているのかもしれない。

 見たところ小学生の低学年だ、忘れても仕方ない。


 あと残り1分になると、

 その子は居た、そして横には母親がいる。


 先週もだけど、私の人生で良かった時だと思った。


 曲が終わり、終了時間になると、


 「お姉ちゃん!!良かったよ!!」


「ありがとう!!」


「息子が凄く上手いお姉ちゃんが居るからって何度も言ってたんですよ。だから私も聞きたくなってついて来てしまいましたが、正解でした。」

 小さな男の子のお母さんも褒めてくれる、嬉しい。


 「俺ね、俺ねお姉ちゃんのファンになったの。」


!!

  

 「・・・本当に!」


「うん、お母さんがまた何度も聞きたくなるのはファンだよって言ってたから。」


私はお母さんの方を見る。


 「この子は何度も鼻歌を歌って相当気に入ったみたいですよ。」


「嬉しい、凄く嬉しいです!!」


「あと、私も今日のでファンになりました。」


私は人生初めてのファンを手に入れた。


 帰る二人の背中に私はガッツポーズをした。

「夢が叶ったーー!!」


ーーーーーー


その後、小さな男の子は私がやる日に毎日来てくれた。

 一人の時もあれば家族で来たり、友達を呼んできてくれたりした時もあった。そして、子ども達が沢山居ると他の人も見やすいみたいで、続々と見る人が増えてきた。


 そしてそのことが目に止まり、スカウトが来た。


 私はアイドルになった。


 人生の夢が本当に叶った。


 アイドルになったことを男の子に話すと、とても驚いて喜んでくれた。



ーーーーーー


 時間が経ち、その子は高校2年生になった。


 今までの私はアイドルのことで頭がいっぱいだったが、私もそろそろ結婚の事などを考える年だった。


 そして、もし結婚するならと考えた時、私にはずっと決めていた人がいた。

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