(四)-2

 僕たちの車もその隣に停まった。そしてアルミ製のウイングを片側だけ上げた。

 父はダッシュボードから紙の束を掴むと車から降りた。音を立てて閉まったドアのミラーで父がどこへ行くかを見ていると、走ってやってきた市場の人に紙の束を渡し、何かを話していた。

 話が終わったところで、母の車の方から妹の早来さきが父の方に走って行った。

 母の方は、妹に向かって「そんなやつと話しちゃだめ!」などと大声を出していた。

 父は父で「うるせえ! 早来は俺の娘だろ!」と応酬していた。


(続く)

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