第33話 ライバル
梅田クランは六十層まで行って帰ってきたらしい。
「俺らは五十層で止まってるから先にいけよ」
「すいません。俺たちのために」
「気にすんな、ゆっくり攻略していけばいいさ」
「はい!」
また柳は怪我をしていたがあっちにも回復魔法を使う人がいてよかったな。
「十層しか違わないのかぁ」
「なんだ?」
「その気になればすぐ抜いちゃうんじゃない?」
「まぁ、でもそんな事してみろ?狭間がうるさいだろ?」
「誰がうるさいんですか?」
ヒナと話していたら狭間が登場。
「いやこれはだな」
「もう、わかっとります。レクトさんが手を抜いてるのもほんま申し訳ない」
「いや、ゆっくり攻略していこうと思ってるからな」
「ですか、でもほんまのところキツくなってきてるのも事実なんです。私達は行けるところまでで退散しようと思てます」
流石に梅田クランにはキツイのか。
「柳も怪我が目立ちますし、もう少しチャレンジしてみたら次の目標っちゅうことで今回は断念しようと」
「そうか、それならそれでしょうがないな」
「あぁ、悔しいですわぁ。もっと力があればレクトさんたちと競争できたのに」
「競争なんかしてもいい事ないだろ?ダンジョンはそんなふうに挑むもんじゃない」
狭間は項垂れて、
「そうですね。そう言う精神だから強うなれてるんでしょう。でも負けませんからね」
「ハハッ、こっちも負けないからな」
「あはは、ありがとうございます」
しょうがないからライバルとして認めてやるよ。
狭間はルンルンでバスに帰って行った。
本当に負けず嫌いなんだろうな。
「さて、明日は五十層からだからゆっくりしてから寝るか」
「ヒナ達もがんばるからね」
「そうです!」
「師匠!頑張りましょうね」
「あぁ、張り切りすぎるなよ」
次の日は梅田クランが行って一時間後に入って行く。
「今日の目標は?」
「まぁ行けるとこまで行くぞ」
「それは梅田クランを抜かしてですか?」
「そうだ」
昨日ライバル宣言をされたからな。本気でいかないとな。
六十層を抜けて六十一層、ヘヴィオーガだ。それを難なく斬っていく俺たちだが、レアなヒートヘヴィオーガが出てきた。
「ヒナ!あまり近づくなよ」
「分かってるよ」
「アイスランス」
ミアのアイスランスに足を止めるヒートヘヴィオーガ。
「一閃」
アズサが斬り込んでいく!
「ウゴオオオォォ」
胸に斬り傷を負わせたがまだまだだな。
「行くぞ!一閃」
腹から血を流し倒れるヒートヘヴィオーガ、やはりレベル差だな。
「さすが師匠です」
「レベルが上がればアズサにもできるさ」
ヒートヘヴィオーガのドロップは皮と牙、魔鉱石だった。
やはりレアモンスターの討伐はヒナ達だと多少苦戦するな。
七十層はフレイムキマイラだ。
だが、ヒナ達に戦わせたらあっという間に倒してしまった。
通常のボスモンスターならヒナ達でも余裕があるようで何よりだ。
「宝箱ぉ!」
「私が開ける番でしょ?」
「そうですよ」
ヒナははいはいというと、宝箱から離れる。
「おぉ、ネックレスにタクトが入ってたよ」
知力アップのネックレスに地属性のタクトだな。
教えてやるといまのネックレスから変えて装備している。
タクトはアイテムボックスだ。
小休憩を挟んで七十層を降りていく。
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