第68話 第一階層を行く



「熊野、左から来るぞ!

直人、みんなの前に立って守ってやってくれ!

さくら、紗香、菜月、メイドさんたちは自由に戦ってもらえよ!

優香、ひより、翔子さん、後ろを警戒してください!」


俺が指示を出して、第一階層を進みながら戦っていた。

この階層は、ゴブリンが出てくる。

また、普通のゴブリンだけではなく、奥に行くほどいろいろなゴブリンが出てきた。


俺たちは、一匹一匹確実に倒していった。


銃を構えて、照準をゴブリンに合わせ引き金を引く。

これで、大半のゴブリンは倒すことができる。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「……だ、大丈夫。ちょっと、気持ち悪かっただけだから」


菜月が、翔子さんの背中をさすりながら心配している。

たぶん、人型の魔物を倒した時によくある、気分が悪くなる症状だろう。


「みんなは、ゴブリンを倒しても気分が悪くはならないんだな」

「たぶん、慣れだと思います。

俺たちは、伊藤亮介たちと一緒に魔物を倒していましたから……」

「そうそう、初めは私たちも気分が悪くなったんだよね~」

「でも、何体も倒しているうちになれちゃったんだよ」


そう言いながら、さくらと紗香はベレッタM9のマガジンを交換している。

まさか、もう全部撃ち尽くしたのか?


「さくらと紗香は、撃ちすぎじゃないか?

よく狙って撃っているのか?」

「狙っているよ~」

「でも、引き金を引くと外れちゃうんだよね~」

「それは、銃を固定していないからだ。

銃を構える時、両手で構えて銃を固定すること」

「「は~い」」


そんなやり取りをしながら、俺たちはダンジョンを進んで行く。

だがまずは、戦い方の確認などを行っていた。

戦ったことのない翔子さんたちには、戦いに慣れるためにこの階層を使うつもりだ。


「熊野は平気なのか?

ゴブリンを、何度か撃ち殺していたが……」

「私、アメリカで銃の訓練を受けていたんですよ。

だからか、二、三匹倒したら慣れましたよ」

「ほぉ~」


とりあえず、まずは翔子さんが戦いに慣れるまでは下の階層へ移動することはない。

そんな訳で、ゆっくりと戦いを続けていた。



洞窟のような階層の通路を進むと、左右に別れた道が現れる。

こういう時は、メイドさんたちの意見を聞く。


「ベルさん、どちらに魔物がいますか?」

「右の通路の先に魔物がいるようです。

進むなら、左へ行くべきでしょう」

「ありがとうございます。

聞いたな? 左へ進むぞ」

「「「おお」」」


こうやって、敵をある程度回避しつつ、第一階層内を進んで行く。

だがここで、誰かのお腹の音が響いた。


グ~っと。

その音で、俺は時間を確認。

すると、お昼を少し過ぎていることが分かった。


「……どうやら、お昼を過ぎていたな。

昼飯にするけど、何がいい?」

「先輩、お昼を選べるんですか?」

「いや、選べはしないが一応聞いてみたんだ……」

「先輩……」

「あ~、私はお昼の前にシャワー浴びたいわ」

「私も~」

「ならば、温泉にでも浸かって休憩するか?」

「「「賛成~」」」


ということで、俺は通路の端に銃砲店ガンショップの扉を召喚させる。

このガンショップの扉は、頑丈にできていて外からの攻撃に耐えうる構造をしている。


そして、全員でガンショップに入店すると、今度は温泉旅館みなし屋の扉を召喚する。


「やった~、温泉だ温泉~」

「私、一番~」

「さくら、ずるい!」

「菜月、これは……」

「ユウタさんのユニークスキルの扉召喚だよ。

いろんな扉を召喚で来て、扉の先の施設も使うことができるの」

「す、すごいスキルね……」


ドタドタと、みんなみなし屋の扉を潜って行った。

勝手知ったる何とやらだ。


そして残ったのは、俺と熊野の二人だけ。


「主、温泉使わないのか?」

「すまないなロバート、店をこんなことに使わせてもらって」

「何、気にする必要なねぇよ。

このガンショップの扉が頑丈なのは、銃を扱うからだが、こんな使い方もあるんだな」


ガンショップを利用しないで、他の扉の中継地点として利用するとはな……。

あんまり、褒められた使い方ではないように思える。


「まあ、こうゆう使い方のための扉もそのうち召喚できるようになるだろ?

それまでは、うちを利用してくれればいいよ」

「へぇ~、ロバートさんて人間ができてますよね~」

「俺は、契約精霊なだけさ。

主のために、この店を守っている、それだけだ」

「先輩、できた店主ですね~」

「まあな、ロバートは俺から見ても、カッコいいからな」

「フッ」


カウンターの向こうで、銃の手入れをしているロバート。

さて、俺たちも旅館へ行くか……。



旅館への扉を潜り、中へ入ると二人の女性が声を掛けてきた。


「いらっしゃいませ、主様」

「いらっしゃいませ、ご主人様」


ここの旅館の女将である契約精霊のカナデと、俺が奴隷商で購入しこの旅館で働くように言って預けたシェーラだ。

どちらも和服姿で、きちんと挨拶している。


それにしても、シェーラがここまでになるとは、見違えたな……。


「他のみんなは、どこに行ったか分かる?」

「はい、皆様お部屋の方へ先に。

それと、すぐに温泉に向かわれました」


それを聞いた熊野が、すぐに反応する。


「先輩、私たちも温泉に行きましょう!」

「その前にカナデ、食事の準備をよろしく頼むよ」

「分かりました」

「シェーラ、部屋まで案内してくれるかな?」

「はい、こちらへどうぞ」


そう言って、俺と熊野を案内してくれる。

カナデは、俺たちを見送ると食事の支度のために移動していった。


おそらく、ここの厨房を任されているのは、料理が好きだと言っていたトトだろうな。

で、リムたちが手伝いってところかな……。


とりあえず、ダンジョン探索の休息所として、ここを何度か利用することになりそうだな……。







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