「歌ごころ」は寄生木(やどりぎ)の如く宿主たる吾をば喰らひて芽吹き枝伸す

(2023-08-21)



割と近場の、国道沿いのお社の鳥居の脇に、

…あれはケヤキなのかな?…ともかく、大きな、かなり古いらしい樹が植わってまして、

冬場、全部の葉が落ちたあと、緑がかった金色をした鞠みたいなヤドリギが、幹に近い大枝にくっついているのが、よく判ります。


フレイザーの『金枝篇』のタイトルの由来を引くまでもなく、

私達人間の目には、何やら非常に神秘的なものに映るのですが、

あれは、寄生されている方の樹木にとっては、結構な負担らしいですね。



こうやって、短歌含め、文章を書き綴る(「書き散らす」?)ようになってから、何となく考えていることなのですが、

こういう「創作能力」…とでもいうようなものは、

ある意味で、人間に生えるヤドリギみたいなものなんじゃないか、…と。

(これについては、未だ自分の考えがはっきりと纏まってはおりませんが…)


「短歌を詠む」(或いは「小説を書く」)と言うと、大抵「すごいね!」と言われます。

(勿論、御愛想もあるかとは思いますが)

でも、実際、そんなに結構尽くしのモノではないのは、恐らくご存知かと思います。


私の場合に限ってですが、創作時は、毎度毎度ぐるぐると歩き回り、ごろごろと転げ回ります。

でも、余所の方には見えないとは思いますが、

恐らく自分の肩の、頸動脈に近い辺りに生えている、黄金色のヤドリギの形を取った「歌ごころ」を引き毟ることはできず、

恐らく一生これを付けて歩くことと思われます。

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