呪われた塩――廃墟の悲劇と恐怖の物語

O.K

第1話:塩に取りつかれた亡き親友

かつて、私たちは親友だった。彼の名前は健太といい、私たちは小さい頃から一緒に遊んできた。しかし、彼がある日から急に変わり始めたことに気付いたとき、私は本当に恐怖を感じた。


健太はいつも元気で楽しい性格だった。しかし、ある日、彼は突然「塩を食べることが好きだ」と言い出した。最初は冗談だと思って笑ったが、彼は本気で言っている様子だった。そして、その日から彼は毎日のように塩をそのまま口に運び、食べ始めた。


最初の数日間は、私は彼がただの変わり者の一つと考えていた。しかし、彼の様子が次第におかしくなっていった。彼の肌は次第に青白くなり、目は血走り、唇はひび割れていた。それに加えて、彼はますます落ち着きがなくなり、奇妙な言動をするようになった。


ある日、私は彼の家に遊びに行った。彼の母親は私に心配そうな顔をして「健太が塩を食べるようになってから、彼は変わってしまったわ。もう止めさせる方法が分からないの」と言った。私は驚きと恐怖で言葉を失った。


その後も、健太はますます悪化していった。彼は常に塩を口に含んでいるか、塩の袋を持ち歩いていた。彼は他の食べ物を拒否し、塩だけを摂取しようとするのだ。彼の体は次第にやせ細り、健康状態も悪化していった。


ある晩、私は健太を説得しようと彼の家に行った。彼の部屋に入ると、彼は床に座っていた。彼の目は虚ろで、身体はガリガリになっていた。彼は手に持った大量の塩を口に運ぼうとしていた。


私は恐怖と絶望で胸が詰まるのを感じた。私の叫び声が部屋に響き渡り、彼は驚いて塩を吐き出した。彼の顔は苦痛に歪み、口から血が滴り落ちた。


彼は病院に運ばれたが、医師たちも彼の症状に答えを見つけることができなかった。彼の体には塩分が過剰に蓄積していることが分かったが、その原因は不明だった。


数週間後、私は彼の死を知った。彼の心臓が停止し、彼はこの世を去ったのだ。医師たちは塩の過剰摂取が彼の体に大きなダメージを与え、最終的には命を奪ったと結論づけた。


それから数年が経ち、私は健太の死の真相を追求することになった。私は彼の家を調べ、彼の日記を見つけた。日記には彼が塩を食べるようになったきっかけが書かれていた。


健太はある日、ネットで「塩を食べることは不健康なのか?」という記事を見つけたのだという。記事には塩の摂りすぎが健康に悪影響を与えることが書かれていたが、それに触発されて健太は自分自身を試そうとしたのだという。


彼は最初はジョークとして始めたが、徐々に塩に対する異常な欲求が強まり、彼を取り憑いていったのだろう。彼の運命は、自らの好奇心と狂気の果てにあったのかもしれない。


健太の死から数年後、私はまだ彼のことを思い出すことがある。彼の急な変化と悲劇的な結末は、私にとって永遠の警告となっている。欲望や好奇心が私たちをどこまでも連れていくか分からない。健太の物語は、私たちが本能に抗うべきときを思い起こさせるものだったのだ。


そして今でも、時折、健太の亡霊が現れるという噂を聞く。彼は塩を求めてさまよい続けていると言われている。彼の姿を目撃した者たちは、彼の眼が空洞であり、口から塩が流れ出てくると証言している。


私はそんな怖い話を聞いても、彼の存在を信じたくない。しかし、時折に私の周りで塩の異変が起こると、健太の亡霊が私たちを覗いているのではないかという恐怖が頭をよぎる。彼の物語は、私たちに塩の力とその限界を教えてくれたが、同時に不気味な存在として私の中に生き続けているのだ。


人々は健太の悲劇を警鐘として受け止め、塩の摂取には適切なバランスが必要だと再認識した。しかし、その中には彼の運命に魅せられ、彼と同じ運命をたどろうとする者もいるという。

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