14話 緊急事態、怪人生態、機体生態

宇宙歴4993年 4月25日 20:04


人工惑星:技術ノ星

どーるくらぶ


〈バタンッ!!!!〉


荒々しくどーるくらぶのドアが開いた。



??「おい!吟一、緊急事態だ。」

茶髪の青年とボロボロのヴェールが焦ったように現れる。


ヴェール「……」


兎丸「亀吉君にヴェール君!?どしたのっ!?」

兎丸は慌てて駆け寄る。


それの後にアリス達3人も続く



茶髪の青年__亀吉は眉間に皺を寄せながら

抱えていたヴェールをその場でそっと下ろした。


吟一「兎丸君落ち着いて、まずはヴェール君を処置室に…破損はしてるっスけど修理すれば大丈夫っス」


アリス「俺がやります。」


亀吉「……貴様人間か?」


アリス「え?あ、はい。」


亀吉「っ!ちっ!!」


アリス「えぇ……いきなりの舌打ち。」


吟一「こら!亀吉君!威嚇しないでくださいっス!!


それとアリス君、ヴェール君のことお願いします。

兎丸君はヴェール君を運ぶのとアリス君を処置室に案内してくださいっス。


処置室にある程度の工具はあるのでご自由に使ってくださいっス」


兎丸「うん」


アリス「わかりました。」


兎丸はヴェールを担ぐとアリスと一緒に処置室へと向かった。


7「何があったんだ??ヴェールがあんなに破損するなんて。」


亀吉「…俺も詳しくは分からない…

ただ見回りを終えて帰る時にヴェールから着信がたあった。


すぐに切れてしまって気になってあいつが見回りしてた惑星:デアにいったんだ。……そしたら宇宙列車の駅の近くに倒れてた。」


吟一「亀吉君は今日確か惑星スイーテッドの見回りでしたよね??」


7「動けない状態だから近くにいた亀吉に連絡したんだな」


とそこに兎丸は処置室からもどってきた


7「!兎丸!ヴェールは?」


兎丸「治るけど。ちょっと時間はかかるし再起動も完全に直してからじゃないと一部データが吹っ飛ぶから今は起こせないってアリス君が。

あと、みんなのこと呼んでる。」

兎丸は自分の服の裾をギュッと掴んだ


吟一「わかりましたっスじゃあいきましょうか?」

吟一そんな兎丸の頭をそっと撫でてそう言う


兎丸「うん。」



_____________________

どーるくらぶ処置室



アリス「….あぁ、吟一さん、それにみんなも。

とりあえず塞がなきゃいけないところは塞いだところです。

これ以上破損することはないと思います。

破損部位は体の期待の役56%で記憶媒体も無事なので少し時間はかかりますが修復は可能です。」

深刻そうな顔をしながらアリスは言う


吟一「そうっスか。ありがとうございます。

それで何か話したいことがあるのでは?」


アリス「はい、ヴェールの傷口に生物的な乾いた血の跡が残ってて。多分怪人の血です。」


7「じゃあヴェールはちょー強い怪人を倒して倒したのはいいけどそのまま動けなくなって

シャットダウンする前に亀吉に連絡したのか?」


アリス「その可能性もあるけど……」


兎丸「あるけど、なに?」


アリス「これはあくまで俺の憶測だけど


怪人はまだ倒せてないんじゃないかな,」


亀吉「なっ!ヴェールが怪人を放って逃げてきたとでも言うのか!?人間!!」


亀吉はアリスに牙を向く


7「こらこら!アリスはまだ話の途中だろ?


アリスもごめんな?亀吉、人間嫌いだから。 続けてくれ!」

7は亀吉をあやしながらそう言った


アリス「あ、あぁ。この乾いた血なんだけど

ヴェールの傷口と傷の内部に擦るようについてるんだ。


あとそれに似た成分…涙かな?それも同じようについてる


ただ返り血とか敵の涙がついたっていうには不自然でまるで血や涙が直接ヴェールを貫いたら見たいに…….」


吟一「血と涙を操る怪人……いや、血を操る怪人と涙を操る怪人の二体ということっすね。」


アリス「それも、アンドロイドの体を貫ける威力の…」


アリス「それでなんですけどそんなヤバめの怪人が話題になってないってことは

ヴェールは見回り中にどこか人気が一切ないところで怪人に出会してそこから出さないように戦ってたんじゃないかなって。


……で、1人では倒せないし応援を呼ぶ暇もないからせめて怪人が一時的に活動を停止する2番目の太陽が沈むまで戦った。」


吟一「なるほどっす……じゃあ今からその場所を特定して。怪人が目覚めたと同時に応戦しなければいけないっスね……」


アリス「……温泉」

アリスはヴェールを直しながらふと口にした。

吟一「?」


アリス「いや、ヴェールの服についてる銀が黒ずんでて酸化してるみたいだから…酸化するほどの水って言えば温泉かなって」


7「人が来ない温泉ってあるのか?」


亀吉「……廃業して壊す前の温泉宿とかはどうだ?

知能のある怪人なら身を隠すためのアジトにしている可能性もある。」


吟一「なるほど!すぐに惑星:デアの廃温泉宿ピックアップするっス。」


吟一はすぐさまピックアップをする。



吟一「できたっスよ!今の所建物が残ってて廃業した温泉宿は2ヶ所っスね。


どちらとも酸性の温泉があったみたいっス


一つは一ヶ月ほど前。もう一つは3日前…

どっちも住もうと思えば住めるっスね。


怪人…中級以上が2人いるのであればこちらも2人ずつ待機させるのがいいっスね……」


兎丸「私がやる。」


アリス「兎丸……」


兎丸「私は亀吉には負けるけど普通のヒューマノイドよりも頑丈だからちょっとやそっとじゃ貫かれないよ。

それに明日は休みだからね。見回りもない」


吟一「…そうっスね……お願いするっス。

それに亀吉君も兎丸と一緒にお願いするっス」


亀吉「もとよりそのつもりだ。」



吟一「あと2人は….」


7「俺が行くよ!!ここに出会したのも何かの運命だし」



吟一「お願いするっス。あと…ロバートゥーさんに参加してもらいたいっスね……確か明日はお休みだったと思うのでお声かけと


7君と亀吉君は明日本来お仕事なのだ変わってくれそうなヒューマノイドにも連絡してくらっス」

と吟一は一度処置室からでた。




___________________________________


宇宙歴4993年4月26日 10:09


人工惑星:技術ノ星

どーるくらぶ


2番目の太陽が上がるより3時間ほど前のこと



あれからどーるくらぶに泊まった

アリス、吟一、亀吉、7、兎丸、



それに


??「……m(_ _)m」


アリス「…….き、着ぐるみ??」


兎丸「ロバートゥーさんだよ!私たちとおんなじアンドロイドの!!」


昨日の吟一の連絡でかけつけたロバートゥさん

が倶楽部の建物前で集っていた



アリス「ど、どうも」


ロバートゥ「……(●´ω`●)」


アリス「喋らないのか?」

とりあえず握手をするアリス


兎丸「着ぐるみ風のアンドロイドだからね!」


アリス「あ、そう…」

喋らないことの理由になっていない兎丸の説明にアリスは適当に返事した


吟一「皆さん、緊急事態で出動していただき本当にありがとうございますっす。


今から、チーム分けをするっス。


まず兎丸君とアリス君それに亀吉は××旅館を

ロバートゥさんと7君は〇〇温泉宿をお願いするっス」



兎丸「任せて!怪人ボコボコにしてくる!!」


亀吉「…ふんっ」


兎丸たちが行くのは廃業して3日の旅館だった


ロバートゥ「………ᕦ(ò_óˇ)ᕤ」


7「おぉ!こっちも見つけ次第食うぞ!!」


7たちは廃業して一ヶ月経過している温泉宿


アリス「….あの、俺、本当に兎丸についていっていいんですか?

ヴェールの修理まだ途中なんですけど…」


吟一「もうすぐVDCの方がくるので

アリス君は兎丸君たちにもしもがあった時、すぐに修理できるように近くにいてもらったほうが安心っスので!」


アリス「分かりました。」






吟一「はい、お願いしますっス。

それと、もし2人でもダメな時は絶対に連絡を入れてくださいっス。


2人いればどちらかが連絡できるの思うので」



「「「「「はい」」」」」

吟一の言葉に全員が真剣な顔をして返事をした。



___________________________________



衛星:デア

潰れた旅館



まだ怪人が動き出すまでには時間があった

兎丸たち3人は

そっと旅館に忍び込む。



兎丸「うわぁボロボロだなぁ。」



亀吉「……当たりだな。3日前に廃業した旅館にしては妙に荒れてる」


アリス「そうだな。


怪人強そうだし揺籠が解ける前に早く見つけて対策しないと」


兎丸「ヴェール君が2人いっぺんに相手にして食い止めてたってことは2人とも昨日までは中級怪人だったんだろうね。


今日もそうだといいけど」


アリス「?どういうことだ?中級怪人が一日夜そこらで上級怪人になるのか?」


兎丸「あるっちゃある。

怪人ってね。

えーとたしか666年間毎日、揺籠で眠って目覚めてを繰り返すと突然進化するんだよ

下級なら中級に中級なら上級に


生まれた日がバラバラだからいっせいになるわけじゃないけど


今回の怪人が今日666年の目の目覚めなら上級の強さになってる」


アリス「………そんなの初めて聞いたぞ」

唖然とする。


亀吉「ふんっ、お前のような平凡な人間が知っているほうがおかしな話だ。


この事実は対宇宙怪人用アンドロイドと

倶楽部マスター

VADと対トの上層部しか知らないのだからな。」



アリス「な、んでだ?」


亀吉「当たり前だろう。今大量にいる下級怪人がもしかしたら急に知性を持ち強くなるなどと知れれば人間どもがパニックになりかねん」


アリス「なるほど……てか、俺はこれ知ってよかったのか?」  


兎丸/亀吉「「あ」」


アリス「…ダメだったんだな。

別に他言はしないけど。」


兎丸「た、ただ多分大丈夫だよ

ほら、アリス君VDCクビになって私のバディになったからから逆に知っておかないと…逆にね?」


アリス「クビじゃないしー!絶対復帰するわ!! 」


兎丸「クビって輝夜君に言われてたじゃん。」




アリス「…….とりあえず揺籠を探すか」

話を逸らすアリス。


兎丸「そうだね。」


亀吉「私に命令するな!人間!!」


アリス「えぇ!?なんかごめん!!」


兎丸「はいはい、三手に別れよう?」


怪人たちが太陽が出るまで閉じこもっている揺籠を探すため


旅館内で別れる。



兎丸は

旅館の個室とその押入れやクローゼットなどを探し


亀吉は

厨房や受付などの従業員専用スペースとお手洗いを探し


アリスは

温泉浴場を探す。



アリス「……っ!あった!!」


見つけたのはアリスだった。


彼の目の前にはその名の通り揺籠のような形でロードナイトのような質感の物体に包まれた

怪人が二体。



アリス「2人とも!見つけたぞ!!」


アリスは浴室に入り口からそう声をかける。




___________________________________



その声を聞いた兎丸と亀吉をすぐに駆けつけた。



兎丸「うぉ。ほんとに二体いた。」



アリス「吟一さんに報告してくる。

…2番目の太陽が出てくるまであと30分とかだな。」


アリスは時計を見てきそう言って一度その場を離れた。







一方その場に残った兎丸と亀吉


亀吉「どちらの相手をする??」


兎丸「ヴェール君、ボロカスにやったほう」

亀吉の言葉に屈伸をしながら兎丸は答えた。


亀吉「どっちもじゃないか。」


兎丸「そういえばそうだね。」


亀吉「……貴様さては怒っているな?少し冷静になれ」


兎丸「亀吉君こそ冷静になりなよ。ヒューマノイドが怒りなんて感情持つ分けないじゃん。


はっはっはっは」

と乾いた笑いをふる兎丸


亀吉「……そうだな。」



そこへアリスが戻ってきた

アリス「吟一さんに連絡してきた。

7の方にも下級怪人が結構、揺籠で溜まってたみたいで

それの処理が終わってから来るそうだ。


俺は、周りの民間人の避難とこの辺りは一時立ち入り禁止にしてくる。


お前らは?」


兎丸「私は揺籠割れた瞬間、叩き潰したいからここにいる。避難云々はアリス君に任せるよ」



亀吉「俺もだ。それに人間の手伝いなど壊れてもごめんだ」



アリス「オケ、分かった。怪人のことは任せるよ。


できる限り広く戦えるようにはしておくから。」




兎丸「ありがとう。」


亀吉「ふん!」


アリス「じゃっ。行ってくる」


そう言って再びアリスは外へ出た。



____________________________


それから20分ほどの沈黙が流れた。


2番目の太陽が昇るまであと7分と言ったところか



兎丸「あ、アリス君から電話」


自身のケータイがなったので応答する


兎丸【はいはーい私だよー】


アリス【あ、もしもし兎丸?とりあえず避難と場所取りはできたその温泉宿の周辺600メートル程度だけど。】


兎丸【分かった!】


アリス【うん、あぁ。今から避難しきれてない人がいないか見回って来たいんだけど…いいか?】

不意に兎丸は準備運動を始める


兎丸【もちのろん!

こっちのことは本当に気にしなくていいから頼んだよ。もしやばくなったら自分達で応援呼ぶし。まぁ呼ぶことはないだろうけど?】


アリス【そーゆー慢心が怪我の元だぞ?】



兎丸【まん?しん?


饅頭の仲間?】


アリス【ちげぇ調子に乗るなってこと!!】


兎丸【私はいつもこんなだもん!】


アリス【そういえばそうだった。】


兎丸【でしょ?だから問題なし!】


アリス【はいはい。じゃあな】


兎丸【うん】


そうして2人は通話を切った



不意に先程まで何も話さなかった亀吉が口を開く

亀吉「貴様なぜ人間とバディなど組んだ」


兎丸「んー?最初は輝夜君に言われた漢字だけど


今では、人間が好きだから組んでるって感じかな?

私が人間好きなの知ってるでしょ?」

2番目の太陽が昇るまであと5分

兎丸は準備運動しながらそう答えた



亀吉「貴様人間を好きと言いながらか弱いと思っているだろうが。」



兎丸「いやぁ、私も最初はか弱い人間とバディはムリがあるかなぁと思ってたよ?


好きだけどね?


ところがどっこいアリス君割とタフなんだなぁ」



亀吉「理解に苦しむな」


兎丸「そりゃ、亀吉君は人間が嫌いだからだよ。

私と真逆」



亀吉「ふんっ!自分達が戦いたくないから危険な目に遭いたくないからと俺たちを怪人を戦うモノしてプログラムを組み込み

作り出したという事実が実に愚かで生々しいからな」


兎丸「じゃあ怪人側に着いちゃえばいいのに」



亀吉「人間の敵になる選択をした時点で

強制的に所有者の命令機能で自害させられるのを知っていてするバカがどこにいる。」


兎丸「あー、そういやそうだったね。


とっ。とそろそろだね。」



亀吉「あと10秒だ。」




3

2

1


兎丸「ゼロ」


兎丸がそう言った瞬間


二つ目の太陽が顔を出す。



そして怪人を包み込んでいる揺籠にヒビが入った。













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