危険な森で目指せ快適異世界生活!
@haramal
第1章:異世界の森で生活開始
第0話:Prologue
・・・・・・暗い。
ここは、どこなの。
気がつくと、目の前は真っ暗、というか私寝転がってるの?
体を起こして周りを見ても、暗くてほとんど何も見えない。
右側に光が差し込んでいるところがあるから、そこだけ明るく見えた。
いったいここはどこなんだろ。
私は・・・
「荘介!!!!!」
名前を呼んで、周りを見渡すが、荘介は見当たらない。
そうだ、私は水原琴波、高校三年生。今日は18歳の誕生日で、1か月前から付き合っている彼氏の荘介と、誕生日デートをしていたはずで・・・
見せたい景色があると言われて、少し離れた展望台に向かっていたはず。
そこで確か・・・
「そうだ、私売られたんだ。」
思い出した、荘介に連れて行かれたのは展望台じゃなくて、展望台から少し外れた駐車場みたいなところだった。
そこになんかチャラそうな男の人が3人いて、真ん中のでっかい人が荘介に、話しかけてた。「よくやった」って。
それからその男が荘介に、お金渡してた。
・・・それで私は?
荘介が男に「こいつです。好きにしてください。」っていって、私の背中を押したんだ。
その男に腕を掴まれて、なんか気持ち悪いことたくさん言われて、怖くなって、荘介に「助けて!」っていって・・・
そしたら
♢ ♢ ♢
「は? 助けるって? そもそも嶋田さんがお前のこと見かけて『タイプだから連れてこい。金やるから。』って言われたから、お前に近づいたんだが? お前なんかタイプでも何でもないんだけど。そもそも、俺、彼女いるから。一回くらいなら遊んでやろうかと思ったけど、全然ヤらしてくんないし、マジでつらかったわ。そのくせお前は毎日毎日飽きもせずに、メッセージやら電話やらしてくるし。あれちゃんと返してたこと感謝しろよ? 彼女と必死に文面考えたんだからな。」
♢ ♢ ♢
そうだ。そうだ。
あいつ、この男に私を売るために、私に近づいたんだって!
それで、その後何されるか分かって、逃げたんだ。展望台に行けば、誰かいるかもって。助けてくれるかもって。必死に逃げたんだ。
誕生日デートに張り切って、普段はかないヒール履いてたから、靴脱いで裸足で。
でも展望台には誰もいなかった。
あっちは私より体の大きい男が4人。
あいつらが迫ってきて、このままだと捕まって、ひどいことされるって。
それで、飛び降りたんだ。
「はぁぁぁー。誕生日に、彼氏に売られて、逃げ切れずに自殺って。間違いなく最低の誕生日よね」
ん?
そうだよね。私、展望台から飛び降りたんだよね! 少し下見たけど、すっごい高かったよね! なんで生きてるの?
自分の体をあちこち触ってみたり、立ち上がって屈伸してみたりしたが、どこも痛くないし、出血している様子もない。
まさか、全部夢だったってこと?いや、服は間違いなく昨日の夜から必死に選んだ服だし、下着もこの日のために勇気出してかった一番かわいいやつだし、脱ぎ捨てたから靴履いてないし。
いったいここはどこなんだろ。なんで私は生きてるんだろう。
♢ ♢ ♢
ここで悩んでいても仕方がないので、自分の周りの状況を確認することにした。
触ってみた感じ、今座ってるのは、土の上かな?
少し時間がたって、目が慣れてきたけど、周りを見渡しても、特に何もない。
唯一、光が差し込んでいるところがあるのみ。あそこが出口なんだろうか。
他に手はないので、光が見える方向に歩いてみることにした。
暗くて足下もよく見えないため、一歩ずつ、慎重に足場を確認しながら進んでいく。
5分くらい歩いて、光の差し込んでいた場所、出口にたどり着いた。
そこからゆっくり顔を出してみると、半円状の地面が続いていた。
少し前にでると、そこには雄大な自然が広がっていた。
立っている地面の下には広大な森が広がっている。
どうやらここは崖の上のようである。上を見上げると、綺麗な青空が広がっていた。
その自然の美しさと壮大さに、思わず息をのんだ。
上下左右を見渡した結果、どうやら今出てきた洞窟は、森にあるちょっとした山の側面の崖に入り口があるようだ。歩いてきた感じ、上っている感じも下っている感じもしなかったので、崖に空いた穴から、まっすぐ洞窟が広がっているみたい。
一瞬、展望台のあった山の麓なのかと思ったが、洞窟のあった山は、洞窟の穴の少し上が頂上らしく、どう考えても展望台のあった山ではない。
では、ここはどこなのか。その答えは分からない。
・・・ただ、確実なことがある。ここは日本じゃない。というか、地球でもない。
眼下の森、洞窟のある崖から少し離れた場所を、大きな動物が歩いているのが見える。
ただ、こんな動物私は知らない。森に生える木々は、見た感じその高さが十数メートルだった。
そして、その森を歩く大きな動物は、その森の木々よりもでかい。
四足歩行で、ゆっくり、「のっそのっそ」といった感じで、森の中を歩いている。
その鼻あたりからはすごく長く鋭い角のようなものが生えてるし、体からはゴツゴツした棘が無数に生えている。
・・・どう考えても、地球の生物ではない。
それに空を見ると、大きな鳥が飛んでいた。
ただ、この鳥、首が2つある。見間違いかと思ったが、見える範囲にいる鳥4羽全ての首が、2つあった。
・・・うん。とりあえず、パニクってもしょうがない。
見えている現実と、飛び降りたはずなのに無傷でピンピンしている事実、これから推測するに、これはあれだ。よくラノベや漫画でみるあれだ。異世界ってやつだ。
・・・どうやら私は、彼氏に売られ、逃げ出して、展望台から飛び降りたら、異世界に来てしまったようです。
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