そうやってしばらくの間、龍子が森の中を歩いていると、やがて空から冷たい雨がぽつぽつと降り出した。

 龍子は足を止めて空を見上げる。

 手のひらで降り出した雨を受け止めるように、龍子は「……雨だ」と一人で小さな声でつぶやいた。

 龍子は森の中を小走りで駆け出した。

 ……どこかで雨をしのげるところはないかな?

 走りながら、きょろきょろと森の中を見渡してみると、運のいいことに探し始めてすぐに、大地が盛り上がって小さな山のようになっているところに、ぽっかりと穴が空いたような、(あるいは大地が大きく口を開いているような)洞窟があるのを見つけることができた。

 やった。私、ついている。 

 そう思ってにっこりと笑った龍子はそのまますぐにその暗い洞窟の中に入っていった。

 洞窟の中はとても『ひんやり』としている。

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