　湊は1日に1回は連絡をくれた。レンタル彼氏の利用規約を見ると予約以外の連絡は控えるように載っていたので、連絡取れるのが嬉しかった。毎日やり取りができて本当の彼氏みたいだ。

　そして、ついにバーベキューの日がやってきた。

　事前に、瑞穂と紗江に彼氏が出来たので、湊と行くことをグループLINEで連絡しておいた。

　当日、瑞穂の婚約者、紗江の新しくできた彼が先に来て準備をしていてくれた。瑞穂と紗江は湊を見て明らかに驚いていた。湊に話しかけ、「奈津子に彼が出来たっていて本当にびっくりしたんですよ！！ずっとそんな人居なかったから！あ、でもなんで奈津子が良かったんですか？！湊さんってすごく爽やかだしモテそうだから…ほら奈津子って、すごく良い子なんだけど地味だから意外で？」

　２人は喜んでくれているというより、信じられず湊と私の関係を探っている様子だった。

　バーベキューも盛り上がり、湊はそつなく彼氏を演じてくれた。私のことは自然に「なっちゃん」と呼ぶようになっていた。レンタルした彼氏だけど不自然なところもなかったと思う。湊は爽やかだったので誇らしかった。瑞穂と紗江の相手が何だかおじさんに見えた。

　バーベキューの後に、急遽、二次会をすることになったが、湊は次の予約もなかったようで心良く来てくれた。（もちろん延長料金は発生する）

　二次会も終わり、帰り道、湊と二人の時間を過ごせた。また向こうから手を繋いできてくれた。「なっちゃんにもう会えないの悲しい。また会えたら嬉しい。」と湊から言われて、「私も。またレンタルするね…。」と言ったが、お金も掛かるし、もうレンタルはしないつもりだった。

湊にお礼を言い、自宅方面に帰る電車に乗った。