上座の君は駒箱をとる
あんのみのり
敗北
絽羽織を脱いで畳みし盤側のグラスの水は冷えきってある
その指が軽やかに指すその一手 詰めろを外して諦めろという
闇もまだ降り来ぬうちに敗北の苦さを笑うか盆のグラスよ
投了す。西日は強く闇は未だ 苦しき汗の止む暇もなし
感想戦虚ろに答えるわが胸は不甲斐なき身にぎりぎり萎む
この手にはこう指すのならまだ難解と評価値の手のおどろおどろしき
いずれ負う重さを君はまだ知らず 「次はもっと」と微笑む傲慢
臥し待ちの月に尋ねて敗局の理由を探す 風荒ぶりて
悔しさの馴れ馴れしさに抗って震える夜の涙の熱さ
敗局の闇も溶け行く有明に月は残りてまだそこにある
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