作戦会議

 ニラダ達は防衛先として割り振られたハイバイの街に到着するとそこの防衛担当である領主軍の第3兵団長ガードと出会う。ガードに案内され住民の避難先と作戦拠点を兼ねた工業ギルドの建物まで移動し作戦を練る事となる。


「とりあえず冒険者ギルドの方々も作戦室に入ってくれ、狭いから全員が座るわけにはいかんがよろしいか?」

「では各パーティーのリーダーの皆様に椅子に座っていただく形をとらせていただきます」


 ガードより、作戦室は用意しているが全員が座る余地はないと言い、その発言に対しギルド職員のアービットがパーティーのリーダーに座ってもらえばよいとの発言を聞き、ニラダが戸惑ってしまう。


「って事は俺だけが座るのか、みんなに悪いな」

「私達なら少しくらい大丈夫だから」

「そうよ、小さなことを気にしすぎよ」

「そうだそうだリーダーらしくふんぞり返っていろ」


 ニラダが戸惑う中、一同がニラダに対し、遠慮はいらないと言うとニラダが更に返答をする。


「みんなの事もあるけど、カイルさんに立たすのもなあって……」

「あ、それは確かに……」

「ちょっと恐れ多いわね……」

「Aランク冒険者だからな……」


 カイルの事は盲点だったのか、ミヨモ達も目を丸くしてニラダの発言には賛同をせざるを得ないという感じになるが、その空気に対してカイルが発言をする。


「ニラダ君も君達も私に遠慮するな、私は望んで君達のパーティーにクエスト限定とはいえ加わったんだから」

「確かにそうなんですが……」

「ほら、早く作戦室に行くぞ、兵団長殿をお待たせするな」


 そうカイルに言われニラダ達も移動を開始し、作戦室に入室する。入室するとアービットの言うように各パーティーのリーダーのみが座り、他のメンバーやガードと一部の兵以外は立ったまま作戦会議が行われようとしている。


「では作戦会議を行うがその前に領主様とカーリソンギルド長からの我々へのお達しを皆様にお伝えする」

「何でしょうか?」

「我々は領主軍ではあるが貴殿らを指揮下に加えず、あくまでも同等の立場で作戦に当たれよとのお達しだ」

「つまりあなた達は我々に命令する権利はないとの事ですか?」

「うむ、貴殿らは少数ながらも魔法やあらゆるスキルを使いこなすから、我らの兵法や軍法は適しないとの判断だ、私はあくまでも作戦内容を伝えるに過ぎん」

「そうですか、だけど自分達の特性を理解していただいたのはありがたいです」

「うむ、無論作戦より大きく外れた行動は看過できんがな」


軍の動きは冒険者に合わないと判断し、同等の立場で作戦にあたる事にはなるが大きな逸脱は許さないと釘もさすガードであった。

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