俺とおじさん
アビジンを自分の剣に加えて欲しいという相談をドットにしにいったニラダであったが、ドットではアビジンを上手く扱えず、剣すらも破壊してしまう恐れがあると告げる。
だかドットは自分の師匠であるゴーンなら扱える可能性があると告げるが高齢で他界しているかもしれないとも告げ、もう1人の人物についてニラダに話す。
「もう1人の人物?いったい誰なんだ?」
「師匠には息子がいてな、そいつも俺と一緒に師匠と鍛冶を修行していたんだが……」
「おじさん……どうしたの?」
「そいつは腕はあったが、親父のやり方に反発ばっかしてな、ケンカが絶えなかった」
ドットの師匠であるゴーンには息子がいて、ドットと共に、鍛冶修行をしていたが、折り合いが悪く、ケンカが絶えなかったようだ。
「そして親父の工房を飛び出し、勝手に独立して工房を開きやがった」
「ちょっと待って!それじゃあアビジンに関しては中途半端かもしれないよ、大丈夫なの?」
「いや、そいつの腕は確かで、冒険者もそいつに武器開発の依頼をよくしていた。中にはアビジンを素材とした武器も作っていたようだ」
「破天荒な人だなあ、会うのが不安になってくる」
ニラダが不安を感じているとドットは更に話を続ける。
「俺はあくまでも師匠のやり方に忠実で俺の鍛冶の基礎はそこにあると思っている、そんな俺がアビジンを使えないで、反発してばっかだったあいつがアビジンを使えるのは皮肉だと思わねえか」
「おじさん……」
「若い時はゲンの才能にも嫉妬していた、その結果鍛冶に打ち込み過ぎて嫁に逃げられたんじゃあ、俺の人生は何なんだと思ったな」
「おじさん、でも俺は師匠やおじさんがいたからこうやって冒険者になれたんだし、俺だけじゃなく俺の仲間の為にも装備を作ってくれているじゃないか」
「ニラダ……」
「それに、俺にゴーンさんだけじゃなく、ゲンさんも紹介したのは、その感情よりも俺の為におじさんなりに考えた結果だろう」
「はっ!ガキだと思っていたお前にそこまで言われるとは俺もヤキが回ったか」
ニラダに諭され、少し自虐的にドットが語るとニラダより更に言葉をかけられる。
「おじさん、アビジンの事はお師匠さん達に頼るけど、これからも俺達の装備はお願いするからよろしくね、じゃあ俺まずパックの街に行ってくる」
「おお、気を付けろや」
ニラダが離れると突如語り掛けるように言葉を発する。
「おっと、目から汗がでちまった、なあ兄貴、あんたの弟子はとんでもねえ成長をしているぞ身体も心も……会って度肝抜かれるかもな」
目の汗をぬぐい、ドットは今日も鍛冶にいそしんだ。
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