情報交換
ニラダの前に突如現れたAランク冒険者のカイルという男、他の冒険者の言及に窮するニラダを救い、Aランク冒険者のカイルの名を聞いて、ティアが反応を示す。
「そう言えば、この街にAランク冒険者がパーティーを組まずに常駐しているって聞いた事があるけど、あなただったんですね」
「正確にはこの街を起点に様々な場所に移動をしながらだがね、それにパーティーは組んでいないが、必要とあらば他の冒険者への協力依頼は惜しまないさ」
Aランク冒険者でありながら、まだCランク冒険者の自分達ときさくに接しているニラダはカイルに対して戸惑いながらも心地よく過ごしていた。そして思い出すようにニラダは再度、受付嬢に呼びかける。
「とにかく、一度クロスマウンテンの龍の葉採取のクエストは考え直した方がいいと思います、念の為、これも渡しておきます」
「これは?」
「その俺達が戦ったハイ・デュラハンの鎧の一部です、多分これにも魔力が込められているはずです」
「承知しました、預かっておきます」
ニラダはギガングの鎧の一部も受付嬢に渡し、受付をあとにしようとするとカイルがニラダ達に声をかける。
「すまん、君達、その魔王軍の幹部との戦いの話を聞かせてもらっても構わんか?」
「いいですけど、どうしてですか?」
「実は、今、私も魔王軍の幹部の生き残りを追っていてな、そいつはハイ・デュラハンではないが、君達の話を聞けば何か少しでも情報が入るかもしれん」
シャンも魔王軍の幹部を追っているという話を聞き、ニラダ達はカイルの要望に応じる事とした。
「分かりました、それじゃあこっちのテーブルでお話します」
「ああ」
ニラダ達とカイルはテーブルに着き、まずニラダから口を開いた。
「じゃあ、まずは俺達が遭遇したハイ・デュラハンですがギガングと名乗っていましたね」
「ふむ」
それからニラダはギガングとの戦闘経緯を話し、それらを話し終えるとカイルは驚きと共に、ニラダに尋ねる。
「補助魔法の重ね掛けとはたまげるな、それでそのギガングは生死は不明との事だが、手ごたえはなかったんだな?」
「拳が入り、奴の鎧、つまり奴にとっては肉体なんですがダメージは与えたと思うんですが……」
「痛み分けか、龍の葉は魔の力を持った者に効力はないし、治療の為に、別の場所に移動したかもしれんな」
「確かにありそうですね、それでカイルさんが追っている魔物はどんな奴か聞いてもいいですか?」
「そうだな、君達から教えてもらったしな、私が追っている魔物は闇魔導士だ」
カイルが追っている魔物は闇魔導士、その力とは?
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