各々の役割

 クロスマウンテンで龍の葉を手に入れ下山を試みるニラダ達であったが、出入り口付近に近づくとかつて魔王に仕えていたハイ・デュラハンのギガングと遭遇し、山からの脱出の為戦闘で突破する事を決意する。


「ふん、単なる冒険者風情が、この私を相手に生きて帰れるとでも」

「いくらお前が強くても俺達を相手に1人でするのはかなり困難なはずだ、魔王がいない今お前の魔力は幹部時代より弱体化しているはずだからな」

「確かに、魔王様亡き今、我が魔力は低下したが、それでもこれくらいの事はできるぞ」


 ギガングがそう言うと、どこからともなく再度ガーゴイルが現れ、しかも槍を所持していたのだ。


「あれはガーゴイル⁉」

「うん、魔力の波動から感じるのはさっき、私達が戦ったガーゴイルだよ、ギガングが指揮していたんだ」

「まさかまた空から攻撃をしてくるんじゃ?」


 先程ニラダ達が戦ったガーゴイルがギガングの指揮のもと現れ、再び空中からの攻撃があるのではないかとジャンは不安になるが、その時にギガングが言い放つ。


「また槍を破壊されては少々困るのでな、今度は貴様らを接近戦で殺してくれる」

「へっ、警戒してくれて助かるな」

「いいえ、ジャン、低空飛行でもガーゴイルに対処するのは大変だし、おそらくギガングはさっきの戦いでニラダ以外の私達ならガーゴイルの接近戦で十分と考えているわ」

「何だって⁉くそ」


 ギガングが部下のガーゴイル達を呼び戻し、確実に自分達を封殺するつもりである事をティアがジャンに告げるとニラダが一同に呼びかける。


「それでもギガングさえ倒せばこのガーゴイル達も戦意を失うはずだ、俺がどうにかギガングを引き付ける、みんなはガーゴイルを頼む、可能なら殲滅してくれ」

「待って!相手は弱体化しているとはいえ、魔王軍の幹部だった魔物よ、1人で引き付けるのは……」

「そうだぜ、4人でまずはガーゴイルを倒そうぜ、そうすりゃああいつは1人だ」

「奴がガーゴイルと連携すればそれこそ俺達は全滅してしまう、俺ならそう簡単にはやられない!」

「ニラダ君……、分かった、ニラダ君、ギガングをお願い!ガーゴイルは私達が倒すから!」


 ミヨモがニラダの意見に賛同する事を強く尋ねるとティアがミヨモに呼びかける。


「ミヨモ!あなたまで……」

「でもガーゴイルさえ倒せれば私達が脱出する隙はできるかもしれないし、ニラダ君は補助魔法やスキル、それにケンさんとの修行でも強くなっているんだし信じようよ」

「ミヨモ、分かったわ、私達が生き残って脱出する方法はそれしかなさそうね」

「頼んだぞニラダ!」

「みんなも頼むぞ」


 各々の役割を理解し、一同は山からの脱出の為、ガーゴイル、そしてギガングとの戦いに臨んでいく。

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