総評を終えて
ニラダは補助魔法により肉体の強化そのものには成功したのだが、ケンより身体の動かし方のぎこちなさを指摘される。
その際にニラダも武器の使い方の本を読んで実戦で試していた事を打ち明けるが突如ケンより本の内容を忘れるよう言われる。
「本の内容を忘れろですか?」
「ああ、もっと正確に言えば本より密度の高い事を習った方がいいって事だよ」
「本より密度の高い、もしかしてケンさんみたいにそれぞれの武器の使い手から教わった方がいいって事ですか?」
「そういう事だ、ただ本を読んで実戦で試して満足するだけではそれ以上の事は身に付かないからね」
ニラダはケンより武器の使い手それぞれに技を学んだ方が良い事を勧めてくれて更にその詳しい理由も話す。
「その武器の使い手は実戦で培ったものも大きそうだし、引き受けてくれる人がいるなら積極的に吸収した方がいい」
「はい」
「さっきは今の君がSランクを目指す事は無謀だと言ったが、君は肉体の強さを十分に活かしきれていないだけだと思っている、君の勤勉さがあればSランクに届くと断言はできないけど、まだまだ伸びそうだとは思っている」
「そこまで、ありがとうございます」
ニラダはまだ未熟な点が多いものの、勤勉さを高く評価されて嬉しそうな言葉を発し、更にケンも発言を続ける。
「だから僕も追い抜かれないよう必死で修行するよ、次の模擬戦でも勝てるとは限らないしね」
「ええ、またよろしくお願いします」
「ああ、それじゃあまた」
ケンはそう言うと、見学に来ていた他のパーティーメンバーと共に訓練所をあとにし、ニラダも他のパーティーメンバーに声をかける。
「そろそろ俺達も出ようか、他にも訓練所を使いたいはずの人はいるだろうし」
「ええ、それでニラダ、ケガの方は……、え?治っている!」
「あ、もしかしてケンさん密かに気功スキルを使って治してくれたのかな」
「偉そうなこと言って、コソコソしてるとはなんて奴だ」
「そう言うなよジャン、せっかく治療してくれたんだし、それにやっぱり補助魔法で強くなってもその道に邁進している人の本気にはかなわないって事が思い知らされたよ」
ニラダの発言を聞いてミヨモが尋ねる。
「じゃあ、どうするの?やっぱりもう前衛はやめるの?」
「いや、補助魔法での強化はし続けるけど、ケンさんの言うように身体の使い方や武器の使い方は改めて学びなおそうと思う、クエストの合間だからどこまでしっかりできるか分からないけど、俺はもっと強くなれるはずだ」
改めて武器や身体の使い方を学びなおす事を決意するニラダであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます