熱血指導
ケンとの訓練の為にニラダは冒険者ギルドの地下にある訓練所に行き、ミヨモ達も見学へと訪れる。
そこでまずは準備運動を行い、そしていよいよ本格的な訓練に移る事をケンは宣言する。
「よし、じゃあまずは正拳突きからだ、僕の動きをよく見てやるんだ」
「はい!」
まずは拳法の基本である正拳突き、拳を真っすぐ前に突き出していくのを繰り返す。
「いくよ!はっ!はっ!」
「はい!はっ!はっ!」
ひたすら左右の拳を真っすぐ突き出す動作を繰り返していき、しばらくするとケンがニラダに声をかける。
「ニラダ君!腕が下がっている!真っすぐ水平に突き出すんだ!」
「はい!」
「いや!姿勢もわずかだが崩れ始めている呼吸を整えるんだ!」
「はい!」
ケンがニラダに対して指導する様子を見てミヨモ達も話をしている。
「すごいね、ケンさん、結構熱心にやってくれているね」
「ええ、補助魔法とスキルで普段の肉体も強化されているのに、ニラダの姿勢が崩れるなんてね」
「ニラダが志願したとはいえ、あいつの指導の熱もすげえな、俺でもついていけるかな?」
ミヨモ達がケンの熱の入った指導に驚いていると、ケンから次のメニューが言い渡される。
「ニラダ君、次は模擬戦をしないか?」
「模擬戦ですか?」
ケンが模擬戦をするとニラダに言うと、ジャンが訓練に口を挟む。
「おい、ケン!模擬戦をいきなりやるのか!お前ら結構強いし、2人共ケガの危険がある
「ジャン!僕もニラダ君も結構実戦は積んでいるし、ニラダ君にも実戦を通した指導の方がいいと思ってね」
「ジャン!ケンさんには考えがあるんだ、ここはケンさんの方針に従うよ」
「わ、分かったよ、でもケガだけはすんなよお前がいねえとクエスト達成が大変だからな」
ジャンがその場は退くとケンがニラダに対して模擬戦の訓練方法を説明する。
「それじゃあ、模擬戦のやり方について説明するよ、まずお互いに武器の使用は禁止だ、それからニラダ君悪いけどこの訓練では補助魔法の使用も禁止で頼む」
「補助魔法を禁止ですか?」
「ああ、もちろん条件を合わせる為に僕も気功スキルは使用しない」
「それじゃあお願いします」
ニラダが深々と頭を下げるとお互いに構えをとって間合いを取る。
「ううう、なんか私まで緊張してきたよ」
「ニラダもケンさんもすごい気迫を感じるわ、とても訓練とは思えないわ」
「まあ補助魔法と気功スキル無しなら条件は五分だし、今のニラダならケンとも結構いい勝負ができそうだけどな」
ケンの提案で模擬戦が始まろうとしている、ニラダの実力はどこまで通用するのか?
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