怒りのコントロール
ニラダの考えにリンダは難色を示し、その意見に対しニラダも言葉を返すが、更にリンダは自分の考えも伝える。
「なるほどね、だけど、メンバーを分配して馬車に配置するのは反対かな」
「何故か聞かせていただいてもいいですか?」
「これはあたしの感覚で、あたしのパーティーの奴も思っているから言うけど、他のパーティーの奴と同じ馬車で連携を取るのは難しいかなって考えている」
「だけど、俺達は既に同じクエストを受けていますし、馬車の外であろうと中であろうと連携をとる必要がある事は理解しています」
ニラダの発言を聞いて、リンダのパーティーメンバーのリーダーと思われる男が口をはさんでくる。
「いや、お前は本当の意味では理解していないな」
「ロナウド……」
「リンダ、俺も話に入れてくれ、少しこいつは勘違いをしている部分があるから俺にも言わせてくれ」
「俺が勘違いですか?」
勘違いという言葉に困惑しているニラダに対し、ロナウドは更に言葉を続ける。
「確かに俺達は同じクエストを受けているが、それでも俺達は本当の仲間じゃねえ、多分お前はそれを理解していない」
「自分も協力していただいているという感覚はあります。だけど危機的状況になれば連携をとらざるをえないと思いますが」
「俺も食料は守るつもりだ、だがな命がけで他のパーティーの奴を助けるかっていったら正直難しいとは思う」
「食糧を守るという行動が一致すればそれは連携に繋がると思うのですが」
「やっぱり分かってねえな、わざわざ馬車をパーティー分用意するのは同じ馬車の中では別のパーティー同士が連携をとる難しさを示しているとは思わねえのか」
馬車をギルドがわざわざパーティー分用意する意味をニラダに話したロナウドは更に話を続ける。
「同じ馬車に違うパーティーの奴を配置しても、いやそんな事をして変にトラブルに発展するのをギルドは気にしてんだ、そうだよな、受付のねえちゃん」
「え、ええ、パーティー同士でのいさかいはご法度ですが、ギルド側もそういったことが起きないように注意を払う義務はあり、馬車をパーティー毎に用意する理由でもあります」
「それに俺にはもう1つ気になっている事がある」
「え?」
「お前の仲間が土壇場でバックレたパーティーの奴をボコりに行こうとした点だ。怒りを感じるのはもっともだし、一番悪いのは逃げた奴らだ、だが大事なクエストの前に怒りをコントロールできねえ奴と同じ馬車なんて他の奴らだっていやだろうぜ」
ジャンの怒りの発言が他のパーティーに波及していた事を聞き、ニラダは言葉がなく、結局ロナウド、リンダの案が通り、そのまま村まで向かう事となったのだ。
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