連携の不安
ティアの先輩聖職者であるリンダ、そしてジャンが仲良くなったケンという冒険者がそれぞれ所属する2つのパーティーとの『食糧配給』クエストの協力交渉が成功すると、更にジャンがかつて盗賊団に魔石やアイテムを盗まれ、ニラダ達に取り返してもらったパーティーに協力交渉に向かい3組がニラダ達への協力を表明した。
そして翌朝、ニラダは家を出てギルドに向かおうとするとミヨモ、ティア、ジャンが既に家の前にいて、ニラダに挨拶をする。
「おはよう、ニラダ君」
「おはよう」
「さあ、行こうぜ」
全員から順番に挨拶をされてニラダは返答をし、ギルドに向かう意思を示す。
「おはよう、さ、ギルドに行こう」
「さっき、それは俺が言ったじゃねえか」
「まあ、一応俺がリーダーだしね」
「はいはい、そろそろ行きましょう、協力してくれるパーティーを待たせちゃ悪いし」
ティアがそう言うと、ニラダ達はギルドに向かって歩き出し、道中で話をしている。
「私達を含めて6組のパーティーで挑むんだね、これだけいれば大丈夫だよね」
「そうだな、だけど俺達にとっては初の他の村までのクエストだし、それに他のパーティーとの連携だって初めてだ」
「冒険者っていうのは個性と我が強い人が多いし、同じクエストは受けてもどこまで連携ができるかは不安よね」
「リンダさんやケンさんのいるパーティーとなら上手くやれそうな気がするんだけどな」
ミヨモがそう言うとティアは自分の考えを話す。
「私やジャンが個人的に親しいというだけで、それが直接パーティーとの連携に結びつくかは疑問だわ」
「俺もティアの意見に賛成だ、他のパーティーメンバーとはほとんど初対面みたいなもんだからな」
「そういうものなのかな」
3人がパーティーメンバーとの連携の不安について話していると、ニラダも口を開く。
「だからこそ、出発前にどうするかの話し合いが大事だろう」
「ニラダ君」
「多分ギルドには参加パーティー分の馬車と食料運搬の馬車が用意されているはずだし、まずはそこでの人員の割り振りだな」
「そうだね、ちゃんと話し合わないとね」
ニラダとミヨモが話している間にギルドにたどり着くと、リンダ達、ケン達がすでにいて、馬車も用意されているがある違和感にニラダが気付き、言葉を発する。
「どういう事だ?馬車が食料運搬の分も含め6台しかないぞ」
「本当だ!一体どうなってんだ?」
疑問を感じたジャンはギルド前にいた受付嬢に声をかけどういう事か尋ねる。
「なあ、確かこのクエストは俺達も含めて6組が参加するはずだよな?」
「あの、お受けくださったのは5組なんですが」
「何だって!まさか1組逃げたな……」
早くもクエスト拒否が見られた『食糧配給』クエスト!先行きに不安を感じるニラダ達であった。
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