協力交渉

 ティアの先輩聖職者であるリンダ、ティア曰く、ロッドで魔物を殴り倒すほどの武闘派であり、昼間にパーティーメンバー達と酒を飲む大酒飲みというニラダ達がイメージする聖職者と比較し豪快っぷりがうかがえるが、そこでティアは家を決し、食料配給のクエストに協力してもらう交渉を行う。


「あのリンダさん、今回はリンダさんやそのパーティーの方にお願いがあって参りました」

「あんたがあたしに、しかもパーティーメンバーにまでって何のお願い?」

「はい、実は……」


 ティアは現在自分達のパーティーがデデンの街からデグの村までの食糧配給のクエストを受けている事を話し、更にそこまでの道のりには危険性が高い事も話し、自分達だけでは身は守れても食料は守り切れない可能性を考え、クエスト達成に人手が必要と話し、協力を願いた旨を話す。


「いかがでしょうか?リンダさんのパーティーもこのクエストを受けていただければ危険性も減り、無事食料を村に届ける事ができる可能性は高まります。理解はしているでしょうが、クエストの報酬は分割されずに1パーティー毎に支払われるのでその点でも損はないと思うのですが」

「うーーーん、あたしとしても可愛い後輩の頼みは聞いてあげたいけど、あたし達もパーティーとして活動している分、もう少し利はないとはい受けますとはならないわ」

「利ですか?報酬面では損はさせませんし、道中で得た魔石やアイテムはリンダさん達にお譲りするつもりではいます」

「でも、結果的に魔物に遭遇しなかったら単にあんた達についていくだけになるし、それにその期間他のクエストを受けられない事も気になるしさ」


 クエスト協力に消極的なリンダに対し、ミヨモも声をかける。


「あの、今、村では早く食料を届けて欲しいはずですし、その人達を助けると思って協力してはくれませんか?」

「ミヨモ……」

「そりゃあ、あんた達はそうしたくてそのクエストを受けたかもしんないけど、お願いされているあたし達にはやっぱり利を示してくれないとね」

「そんな……」

「聖職者だからといって、誰でも助けられるわけじゃないし、今は冒険者でもあるんだから自パーティーが優先なのは当然でしょ」


 ミヨモの呼びかけにも消極的なリンダにニラダはマジックボックスを出し、リンダに声をかける。


「報酬にプラスアルファが必要ならさっきティアの言った案とは別にもう1つ案があります」

「何?」


 ニラダの用意したもう1つの案とは?そしてリンダ達はクエストに協力するのか?

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