運搬の危険性

 ニラダ達『成長しあう者達』は『食糧配給』のクエストを受ける事となり、一連の流れを受付嬢より説明を受け、ギルドのテーブルで一息ついているとニラダはデデンからデグまでの移動距離や地形を地図で確認してこのクエストの危険性に気付く。


「みんな、このクエストも他の魔物討伐やダンジョン探索と遜色ないくらい危険かもしれない」

「え?そうなの」

「どういう事か説明してくれる」


 ニラダは説明をパーティーメンバーから求められて、地図を使いながら危険と感じた理由を説明していく。


「まずはこのデデンからデグの村までの移動手段として馬車を使用するが、どうも山道を通過しないとダメのようだな」

「山道ねえ、確かに移動するには困難な場所だな」

「それだけじゃない、この山には魔物が多く住んでいるし、飢えた魔物が食材を狙って襲ってくる可能性もある」

「なるほどなあ、だがそれならデグの村は他のギルドに頼めばよかったんじゃないか」


 ジャンが疑問を感じた事に対して、ニラダはある事実を伝える。


「俺達が今住んでいるビスク領内にもいくつかの冒険者ギルドはあるけど、距離的にもデデンの街のギルドが近くて必然的に担当区域になったんだ」

「確かに地図を見る限りこの山の向こうには農村しかなく、冒険者ギルドを置くような街はないわね」

「じゃあどうするんだ、報酬は結構良いけど、俺達が他に得られるものは少なそうだしキャンセルするか?」

「でも、私達がキャンセルしたら、誰が食料を届けるの?」

「ミヨモの言う通りよ、そもそも人手が必要だからギルドのクエストとして登録されているんだから」


 ジャンは危険性と報酬は釣り合っているものの、アイテム等を得られる機会は少なそうだからキャンセルを提案するがミヨモとティアに強く反対される。


 それを聞いたニラダは何か思いつき、仲間達に呼びかける。


「みんな落ち着いてくれ、もう準備が始まっている以上キャンセルは今からは無理だ!だけどこのまま行くと俺達自身はともかく食料を守れるかは不安だな」

「じゃあどうするんだ?」

「1度確認したい事がある、少し待っていてくれ」


 そう言いながらニラダは再度受付に行き、受付嬢に声をかける。


「ちょっとすいません、『食糧配給』のクエストの事でいいですか?」

「はい、ご不明な点がございましたらお尋ねください」

「あの、食材運搬用の馬車は1台ですか?」

「ええ、ですが大きめの馬車を用意しますので十分対応は可能です」

「それなら……」


 ニラダが新たに思いついた事とは?

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