それぞれのスキル

 薬草採取のクエストに成功して手に入れた薬草を調合スキルを駆使して治療薬の調合に成功したティアは郵便所に荷馬車で孤児院に届けてもらうよう依頼して、そのままニラダ達と郵便所を後にする。


「ねえティアさん、こういう機械なんだし、顔を出さなくて良かったの?」

「いいのよ、今の私はまだ修行の身で、あなた達と同じ冒険者だし、もっと立派になってからいずれ孤児院に姿は見せるわ」

「じゃあティアさんが1日でも早く行けるように私達も頑張るね」


 ミヨモがティアの為にも頑張ろうと声高らかに宣言しているとティアからニラダ達に疑問が投げかけられる。


「ところでニラダ、ミヨモ、聞きたい事があるんだけどいいかしら?」

「何だ?」

「私はユニークスキルとは別に調合スキルを修行で身に付けたんだけど、あなた達にもそういった後天的に身に付けたスキルってあるのかしら?」


 ティアはニラダ達にも後天的に身に付けたスキルがないかと質問をぶつけてきて、まずはミヨモが答える。


「じゃあ私から言うね、私は『魔力感知』っていうスキルを修行で得たの」

「魔力感知、他人の魔力を感知できるスキルか、あれ、でも……」

「ええ、私の接近には全然気づいている様子がなかったじゃない」

「これも能動スキルで発動すると微量だけど魔力を消費するから街中では発動していなくて、クエストに挑む時だけ発動するって決めているの」


 街中では基本的に発動していないと話すミヨモであったが、更なる疑問がニラダからぶつけられる。


「あれ、ダンジョンや森の魔物の接近に気付かなかったのは?」

「魔法を使用できるくらいの魔力でないと感知できないのよ、ミニゴブリンもマンドラゴラも魔法が使えるタイプの魔物じゃなかったから」

「そっか」

「でもこれから魔法を使う魔物とも戦う事はあるから、ミヨモのスキルも役に立つと思うわ」

「ありがとうティアさん」


 続けてニラダが自分のスキルについて話す。


「俺は『効果付与』っていうスキルがある、もっとも実戦ではまだ試した事がないけどね」

「効果付与っていうと自分や仲間の武器に何かしらの効果を一時的に付与するスキルよね」

「ああ、補助魔法を更に活かす為に身に付けたんだ」

「ねえねえ、どんな効果を付与するの」

「まだスキルレベルが高くないから、睡眠効果しか付与できないが、スキルレベルが上がれば増えるはずだ」


 お互いのユニークスキルや魔法、スキルを共有したニラダ達『成長しあう者達』は次のクエストに向けて更に意識を高めていくのであった。

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