恋に恋せよ恋愛探偵!
ツネキチ
プロローグ
県内一の生徒数を誇る超マンモス高校、私立晴嵐学園。
進学校として名を馳せながら、部活動にも大変力を入れているこの高校の校風は一言とで言えば、自由。
髪型、自由。
服装、自由。
アルバイト、自由。
授業への出席、自由。
…………まあ当然、課題やらテストの成績次第では追試や補講、果てには留年なんてことにもなりかねないのだが、そこさえクリアすれば3年間学園に来なくとも卒業できるなんて噂があるくらいだ。
とにかく自由なこの学園。入学式の挨拶で学園長が「法に触れなければ、基本的に何やってもいいよ」なんてのたまった時には流石に身構えたな。
しかしこの学園には一つだけ奇妙な校則が存在する。
生徒手帳の一番最初のページ、学園の理念なんかよりも先に書かれたその校則。
『生徒の無許可の男女交際を禁ずる』
そう、この学園は世にも珍しい男女交際が許可性の学園なのだ。
男女交際が許されるのは学園から発行される『許可証』を持つもののみ。そしてその恋愛許可証を発行されるのは限られた存在、例えばテストの成績上位者。部活動で全国大会に出場した者。地域貢献によって学園の評判を上げた功労者、などなど。つまり千人を超える学園の生徒の中でもごく僅かに過ぎない。
一見時代錯誤のような、はたまた前衛的なようにも思えるこの校則。しかしこの許可証の存在が生徒の意欲というものを増大させるらしく、この恋愛許可証求めて生徒が切磋琢磨するため、学園の進学率や部活動の成績に確実に影響を与えていることを考えるとなかなか馬鹿にできない。
だが当然、この恋愛許可証に縁もゆかりもない生徒という者も存在する。
取り立てて成績が良い訳ではない者。部活動に意欲的ではない、もしくは部活に入っていない者。道端に空き缶が落ちていようがなんとも思わない不心得者。…………まあ、全部俺に当てはまるのだが。
とにかく、そんな意欲のない者は恋愛とは無縁の3年間を送ることとなる。
俺もそうなると思っていた。恋愛に興味がないわけではないが、たとえ恋人ができなくともそれなりに面白おかしく充実した3年間を過ごせるのだと思っていた。
ーーそう、思っていたのだ。あの女に出会うまでは。
その女こそ、入学早々学園一の不良のレッテルを貼られてしまった俺以上に危険視されている存在。
学園一の変人、学園一のやばい女。
やつと出会っちまったのが運の尽き。俺は不必要なまでに充実した学園生活を送る羽目になってしまった。
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