生きた芝居

結愛

第1話

私は、屋上の縁に座っていた。

「あ。あの小説、最後まで読んでおけばよかったな」

と思った。それと同時に、心残りがそれだけであることに嘲笑したくなった。私は今日、ここで死ぬんだ。腰を下ろして、そう自覚した時こそ強ばったものの今はもうすっかりリラックスしている。いや、

「死ねば辛いことが全て消えてなくなる」

と言い聞かせることによって、無理矢理そうしているのかもしれない。

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