魔女と剣の話
「あの剣は君のなのか?」
彼女は血や傷口が少しずつ戻っているいる間に聞いてきた。
「あれは僕のじゃない」
それを聞いた彼女はどこか淋しそうで、でも嬉しそうに。
「そうなんだね」
それだけを言った。
「でも、あの剣は君のだよ。私の知っている色ではないもの、形状は似てた様な気がするけど」
感情に振り回されているうちに剣が顕現したし、じっくり剣を見る時間もないまま消えてしまって形状や色までちゃんと見ることは出来なかった。
てっきり託されたものそのものが出てきたのだと思っていたから、彼女の言葉に驚いた。
「みんなが持っている武器はね、魂の形なんだよ。だからきっと君の剣も君の魂の形のはずなんだよ」
「僕の魂の形……」
僕は両手のひらを見た。
「でも、あの剣は託されたから出せるようになっただけで……」
僕は彼女に自信なく、伝えると。
「もしかすると、彼と君とは魂の形が似ているのかもしれないね。でも同一の魂なんてものはないから、君に渡って君の魂の影響を受けたのかもね」
魂の形が似ていても同じものになるとは限らないのか……。
こんな話をしているうちに気づいたら、斬り飛ばした腕も、ズタボロになった服も元通りになっていた。
彼女の頭上にはピンクのベレー帽が乗っていた。
そのベレー帽の位置を整えると「さぁ、行こっか」といい僕の手を引いて部屋から出た。
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