迷い込んだ魂

第1話：後部座席の影

男性は美しい自然に囲まれた山間の小さな村で暮らしていました。彼は毎日、長い道路を自動車で通勤していました。その道路は周囲に広がる森の中を続いており、時折、厳かな雰囲気を漂わせていました。

ある日、男性はいつも通り自動車で帰宅する途中で不思議なことに気づきました。自動車の後ろを振り返ると、薄暗い影が座っているのが見えました。彼は驚きましたが、自動車の速度を落とすことなく、しばらくそのまま走り続けました。

しかし、何度も後ろを振り返るにつれ、男性は不気味な感覚に襲われました。後部座席に座っているはずのない誰かがいるのです。彼ははっきりとは顔を見ることはできませんでしたが、その存在は不可思議なものでした。男性は自分の目を疑い、また追い越す車のヘッドライトの光で後部座席を照らしてみましたが、何もなかったかのように見えました。

その夜、男性は不気味な出来事を友人に話しましたが、友人は冗談めかして笑い飛ばしました。しかし、男性は心の中でなんとか説明をつけようとしました。もしかしたら、誰かが自動車の後ろに乗っているのではなく、自分の心の中で幻を見たのかもしれないと考えたのです。

しかし、翌日からも同じような出来事が続きました。男性は自動車の後ろを振り返るたびに、薄暗い影が座っているのを目撃しました。それははっきりとは見えませんでしたが、存在感は強く、男性の背筋に寒気が走るのを感じました。彼はこの怪奇な体験を友人や家族に話しても理解されないことを悟りました。

男性は不安に駆られながらも、この現象に立ち向かうことを決意しました。ある日、彼は自動車の後部座席にカメラを取り付け、後ろを振り返るたびに写真を撮ることにしました。彼は不気味な存在を写真に収めることで、自分自身に証拠を残そうという考えでした。

そして、翌日、男性は帰宅途中で自動車の後ろを振り返り、カメラで写真を撮りました。後で写真を見てみると、男性は衝撃の事実を目の当たりにしました。写真の中には、はっきりと誰かが座っている姿が写っていたのです。その人影は陰影に包まれており、顔は見えませんでしたが、それは確かに誰かの姿でした。

男性は戦慄し、恐怖に打ち震えました。この存在は彼についてくる理由や目的が分からず、ただ彼の後ろに座っているだけでした。男性はなぜ彼が選ばれたのか、なぜ自分の後ろについてくるのか、理解できませんでした。

その後、男性はもう一度写真を撮ることを試みましたが、その存在は写真から消え去ってしまいました。それ以降、男性の自動車の後ろには誰も座っていないようでしたが、彼の心にはこの不気味な体験がずっと残りました。

この怖い出来事は、男性にとって一生忘れられないものとなりました。彼はその後も山間の小さな村で暮らし続けましたが、時折、その存在を思い出し、不安に襲われることがありました。彼はそれがただの幻ではなく、何か超自然的な存在だったのではないかと疑い続けました。