第62話 飛行

「ほほほ。私は、魚であり、鳥でもあるのさ。

 ふふふ、驚いたかい?

 私は、まだ子供だから、鳥になると小さいけどね。大人になると、もっともっと大きくなるよ。

 抜け落ちた羽毛1枚は、人間1000人を乗せる船にすることもできるくらいさ。

 さぁ、早く乗らないか。大陸まで、ひとっ飛びだよ」


 俺たちは、海の上から大鵬の背中によじ登る。


 舞い上がるように、大鵬が空へと昇っていった。地平線に浮かぶ小さな島々が一つ、また一つと後ろに消えていく。風が頬を撫で、鳥の羽が太陽に照らされてキラキラと輝く。


「ありがとう、大鵬!」


 スピカが大きな声で叫んだ。その声も風に乗って遠くへと運ばれていく。

 飛行する大鵬がやさしく言った。


「ほほほ、気をつけてね。愛は、いつでも心を照らす灯火だよ。二人とも、忘れないでね。

 あんたたちを見ていたら、昔馴染みが懐かしくなったよ。せっかく久しぶりに目覚めたことだし、エイゴンにでも会いに行くかな」

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