第20話 霊樹

 薄暗い不気味な森に入って進んでいくと、景色がひらけて、透き通った泉があった。そこには、いつも遠くから見ていた霊樹エイゴン様の圧倒的な姿が。

 スピカが大きな木を見上げている。


「おっきいなー!近くでみるとこんなに大きいのね!」


巨大な木から低く唸るような声がした。


「フォッフォッ、来たな。コフィとスピカよ。

 やっと孫に会えて嬉しいぞ、コフィ」


 俺は、失礼を考える余裕もなく、慌てる。

 スピカも、驚きの声を上げた。


「わっ!エ、エイゴン様!し、しゃべるんですね!それに、え?誰が孫ですって!?」


 おいおい、俺は、一体何者なんだ。祖父は、霊樹!?


「そうじゃ、お前の父、ディエゴは、わしの息子じゃ。

 元々は一万年前、大悪魔ルシファーが、ここから見える世界樹に変貌した。一万年の間にわしと世界樹の根はつながり、一体となった。

 木の中に眠っていたルシファーの魂を、一万年かけて浄化して、悪人に罰を与える存在として生まれ変わらせたのが、悪魔ディエゴじゃった。

 じゃから、お前の父、ディエゴは、わしの息子じゃ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る