季節のセリフ

野山 翔

7月7日の織姫

7月7日。


今日はいつもより早く起きる。


はやる心を抑えて、ご飯を食べて支度をする。


髪は何ヶ月か前から丁寧に手入れをして黒い艶髪に整えた。

それを近頃流行りの髪型に仕上げていく。

お化粧は濃過ぎず、でも少し大人っぽく。何度も練習したから失敗はしない。


服は、靴と鞄と組み合わせて今年新調したばかり。


今年は気合を入れて、爪も彩った。


約束を破ると大変だから、腕時計もつける。これは2年前にペアで買ったもの。


最後に姿見鏡の前に立って、全身のチェック。


うん。いい感じ。

驚くかな。喜んでくれるといいな。


そろそろ出かける時間。忘れ物はないかな。



あ、雲を幕を引いていかなくっちゃ。

でも真っ暗だと地上のみんなが寂しいだろうから月が見えるくらいの薄い物を。


え?七夕に星を見えなくするなんて意地悪だって?


(くすっ)


年に一度の恋人の逢瀬を覗き見する方が、悪趣味だと思いませんか?




それじゃ、行ってきます!

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