第2章 西方のガルナルナ国
第20話
「カンパーーーイ!!」
「カンパイーーー!」
「カンパイ!!」
騎士たちの大歓声の中。
「カンパーーーイィ!!」
「やったねーー! ホント! 凄いよ! オニクボとマルガリータ!!」
マルガリータがリンゴジュースのグラスとビールの大ジョッキをあの大女と交わしている。ここはラピス城の大食堂。騎士たちと盗賊団の男たちと豪勢過ぎる食材の料理が並んだ。かなり細長いテーブルに座っていた。
喧騒の中で大女とマルガリータが早速、料理に手を付けた。
俺はリンゴジュース片手のマルガリータの食事を見ているだけで……お腹一杯になっていた。細長いテーブルから、仕方なく窓際にいるソーニャのところへ行くと、二人で今後のことを話すことになった。
だけど、その前に……名前わかんないんだよな。
「ソーニャ。あ、あのさ。あの赤毛の大きな女の人って、何て名前なんだ?」
「え? 言っていなかったっけ? ガーネットよ。あなたと同じナイツオブラストブリッジの一人」
「ふーん……って?! ナイツオブラストブリッジは、まさかこの三人だけなのか?」
ソーニャはふわりと金髪を掻き上げて、微笑んだ。
「もう一人。目の前にいるでしょ」
「???」
白のパーティドレス姿のソーニャはブドウとキウイが混ざったジュースを口に傾けた後にウインクをした。そして、俺はもう一人が誰だかを聞くことができなかった。食事中のマルガリータに呼ばれたからだ。
「うん?」
俺の前にのっそりと黒の骸団の一人が来て、頭を下げた。そして、古い地図を渡して来た。
「お頭。この地図は西のガルナルナ国へ向かう地図でやす。ガルナルナ国は今もここラピス城へと進行しているんで、早いとこ守りを固め直さないといけないんで……」
俺はその羊皮紙の古い地図を開くと、辺りの肉の香りから煤ぼけた匂いも俺の鼻に入って来た。
ひええええー、こりゃ、大変だ!
その地図には、ここラピス城が中心にあって、周辺の諸国の情勢が細かく書かれていた。かなり悪い情勢の国には大きな赤い線が囲っていて、この地図を見ると、細かいところまでそれぞれの国の危険度や強さまでがわかった。全ての国が強国だけれど、段階的にその強さがわかるんだ。
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