第11話 わらじ虫

恋なんざ持っちゃいねぇ

はなからだ

他所様よそさんの嗅ぐだけで 

味わったこともねぇ


ダメならなんで次いかねえんだ

苦しいなら忘れちまえばいいのに


アホだな


って思う俺の方が

よっぽど空っぽで 

アホだぜ 重々承知の助


おめえもそう思って

ふんふんわかったふりしてんだろ

おめえもアホだなあ

薄っぺら同盟


恋を知らなきゃ わらじ虫


みたいな扱いだけは

どうにかなんないもんかね


しょうがねえだろ

こればっかりは

独りでできねえんだから


バケツみたいなアイス抱えて

食うよな日々

憧れてねぇ つったら嘘になる


けどよ 

その気もねえのに 

手ぇ付けちまったら

胸焼けして 持て余すのが関の山 


金と 時間と 自由と 俺が 

擦り減って 今より薄っぺらくなっちまう


コンビニの 気軽に喰える 

安いカップアイスで 

俺は 満足してんだ


あんたにとっちゃ

ホンモノを知らねえ俺は 

お可哀想で 

ちっこい世界の 

所詮 未熟な虚構の勇者


そんなとこだろ?


俺が 欠陥なのか

俺を動かす待ち人 何処いずこか 

知んねえけど

火がついたそんときゃ

なんもできない 腰抜けのマヌケ

になるつもりは 無ぇぞ


そうなりゃいっそ

アイスで溺れる

わらじ虫になってやるよ

一生ねえかもしんねえが


それまであんたにとって 俺は

残念な生きもん

しみったれた幸せもん

一向に 構わねえ

どっちにしたって わらじ虫だ


だがよ

素敵を押し付けんのも

あんたが嫌う 

なんで出来ないのって目で見んのも

やめろや


俺の人生に

首を突っ込むな


ほっとけや


ハッピーエンドは

てめえで決める


くそったれ









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