第3話 秒読み

売り出し中のVtuberアイドルで友達の川上ルルナは朝方のHRで僕に言って来た。


「動画を撮影してくれる人がいないの」


「いつもの人は?」


「怪我して、2か月くらい撮影できないの」


「わかった。僕が手伝うよ。バイト代は?」


「1日2万円でいい?」


僕は撮影を引き受けることにした。




今日は金曜日で週末に僕らはダンジョンに向かうことになった。


撮影の機材は自動キャプチャカメラだ。


普通のカメラに蓋みたいなのがついてる。


そこでカメラに映ったルルナがアニメキャラに映る。


週末の撮影のためにはじめてカメラに触らせてもらってびっくりした。


「私は悪役令嬢のキャラなの」


「なんで悪役令嬢?」


「流行りだからね。結構人気もあるのよ」


アニメのルルナはソフィーナって言うらしい。


しゃべり方は変わらないけど、少し違和感がある。


ルルナはけっこう垂れ目で、ソフィーナは釣り目だから。


両方すごく可愛い。




日曜の午後に初めての中継撮影開始だ。


カメラを担いで、僕はルルナに従ってダンジョンへ。


僕らの住む府中にある上岡ダンジョン。


目的地は1F北側コボルトフロア。


「私、コボルトくらいしか倒せないの」


「だから、生活用品で戦ってるの?」


「そう。リクエストに応えるとファンが喜ぶ」


「戦いはちょっとこわくない?」


「もう慣れたわ。悪役令嬢のソフィーナは勇敢なの」




上岡ダンジョンに到着。


府中駅から西側に100メートル行った辺り。


シンプルなダンジョンで上層はEクラスダンジョン。下層はBクラス。


高校生が通える府中唯一のダンジョン。


「私、もっと強くなりたいわ。お金持ちになりたい」


「それは僕もおんなじだなぁ」


「お互いにがんばりましょうね」


「うん。がんばろー」




ダンジョンの入り口から中に入る。


受付から中に入ると、右側に転送部屋がある。


転送部屋はなんか黒い建物になってる。


そこを過ぎて、1Fの平原を北に向かう。


撮影はまだしない。


平原は草がまばらに生えてて、ときどきスライムがいる。


「じゃあ、撮影をはじめましょ?」


「わかったよ」


> こんばんは。ソフィーナちゃん。物干し竿持って来た?


> 物干し竿で敵を倒すの。今日は?


> 倒せるの?


「こんばんわ。私の下僕さん(ファンネーム)たち。これからLIVEをはじめるわ」

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