マイクロノイズ抄
麻倉ゆえ
マイクロノイズ抄
守りたい人を守っていることで守られていた教室の隅
中一の秋くらいから学年に悪い噂は広まっていた
本当に嫌いなのかと問いかけたい 安心している同級生に
連れ立ってトイレへ向かう女子たちを理解できずにいる女子だった
離れようなんて保身を考えた一瞬を恥じ向きなおす前
見捨てないと決めた瞳は少しだけ潤み鋭利な視線を放つ
新しいクラスメイトを眺めても友好的な表情はない
「大丈夫?」「何が?」「話せる仲の良い人って他にいないの?」「別に」
気に留めぬことを強さと呼ぶならば強いであろう人の横顔
トラブルを起こさぬための班分けは「なかよしこよし」という選別
少しだけ隙間を空けて寄り添って群れる黒には負けないでいる
「また」というほど失敗はしていないはずなのに「またあいつかよ」って
悪態が羽ばたいていきバタフライ効果のように広がる侮蔑
こんなにも重い「キモい」という音は噂の風に乗るほど軽い
排斥は無邪気なゲーム本当の嫌悪かどうか誰も知らない
ひそひそと「椅子にイタズラしちゃおうか」なんて口先だけで笑うな
学校に微かに満ちている醜聞すべて雑音として処理する
試験後の高い陽の下ひどい名で呼ばれる人の左を歩く
大切に思っているというほどのことでもなかったはずなのだけど
ただ単に近くにいるというだけで許されているような気がした
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