第5話
俺は東京住み。その中では田舎の方ではあるが、一応都内に住んでいる。そして、探索者協会の本部も、東京にある。
だから、迷うこともなく。比較的楽に探索者協会の本部に行くことができたのだった。
探索者協会の本部に入ると、その中の応接室に通された。
「お、星斗君!久しぶり!」
「あ、クルミさん!お久しぶりっす。」
「そうだなぁ…外だし、本名で呼んでほしいな。私は、花山恋華って言います!恋華って呼んでねー!」
……それもそうか。いや、ちょっと待て!?前回、本名も教えてもらってないまま告白されたってことか?
流石に陽キャすぎるだろ…。まぁ、コラボの時だってこっちは知ってたけど多分相手知らない状態で始まったし…?
「はい、恋華さん。恋華さんも呼ばれたんですか?」
「そうそう!!一応関係者だからってね。けど、星斗君のお陰みたいなもんだし私いるかなー?」
「俺的には恋華さんがいてくれたほうが安心するんで!お願いします!」
「なら良かったや。」
コンコンコン。
「失礼します。来てくれてありがとう、睦月星斗君、花山恋華さん。私は山野明と言います。」
「こちらこそ、今日はよろしくお願いします。」
「お願いします。」
協会のリーダーってどんなものなのか気になってたけど、なんか思ってたよりも温厚そうな人だ。強そうでもあるが。
背は、185くらい?恐らく、俺より少し高いくらいだからそのくらいだろう。
「まず、先にお礼を言わせてほしい。睦月星斗さん、花山恋華さん、イレギュラーへの対処、本当にありがとうございました。」
「いえいえ。俺たちは、上位探索者として当然のことをしたまでです。」
「そうです!それよりも、なぜイレギュラーが起こったのですか?」
「それはわからないのです。ですが、一部ダンジョン、まぁ主にFランクダンジョンですが。そこで敵が強くなっているとの報告が上がっています。」
「ということは、Fランク探索者たちの行くダンジョンがなくなってしまうということですか?」
「ええ。」
それは致命的なことになりかねない。そもそも探索者というのは選ばれた者しかなれない。
その上で、ランク分けがされているのだが、Fランク探索者がいなくなってしまうと、Fランクダンジョンを抑えるものが居なくなるので、Fランクダンジョンからのモンスターの流出が始まる恐れがある。
そうなってしまうと、一般市民では太刀打ちできないので、一気にダンジョン周辺は焦土と化す可能性が高いだろう。
なんとかそれは阻止しなければ。幸いにもまだ時間はあるらしいが。
だがしかし。ダンジョンそのものを潰してしまうのは、探索者たちの小銭稼ぎの場を潰すことになってしまう。だって、敵を倒せないとドロップアイテム売れないしなぁ…。
ドロップアイテムの一部は医療にも使われてるから、その仕入れがなくなるのは辛い。
そこのバランスが難しいのだ。
「……どうやってイレギュラーを止めて、Fランクダンジョンをもとに戻せるんだろうなぁ……?」
なんて俺たちが悩んでいると、恋華さんが1つ提案を。
「じゃあさ、そのおかしくなってるダンジョンに潜入調査すればいいんじゃない?」
「確かに、それなら何か見つけられるかもしれません!……星斗さんたちが良ければですが…。」
「まぁいいですけど…?」
たしかに俺もそろそろダンジョンに戻ったほうがいいとは思っていた頃だし。
それに、あの日から配信もしていないから配信だってしたほうがいいだろう。
ツエッターではいろいろ呟いているものの、心配している人だっているだろうし。
けど。いいのか?2回連続で恋華さんとのコラボになっても。まぁいっか。
俺のリスナー、優しいから。
どっちかと言えば恋華さんのファンから許してくれないことのほうが考慮する必要がありそう。
「じゃあ行きましょう!」
_______
「ってことで、2回連続でコラボ回でーす」
「いえーい!私もいるってことだよー!」
『元気で良かった!!』
『久しぶり!!』
『またコラボ!?……ありがとう』
『何?付き合った?』
『てぇてえ』
『cp厨とか湧いてこないといいけど』
『今日も期待してます星斗さん【¥2525】』
「おっ!ナイスパー!……ってかさ、同接数おかしくね!?」
なんと。まだ配信を始めて2分くらいしか経っていないというのに、同接はもう2万人を超えた。
『これがてぇてえパワーかぁ…。』
『前回の一件からおかしいくらい伸びたもんなぁ…』
『古参からすると嬉しい限りです…。』
『で、今日はFランクダンジョンにいるみたいだけど?例の?』
「あ、そうそう。今回は、Fランクダンジョンの敵が強くなってるってのを調べに行くんだよ。」
「このままだったらFランク探索者が小銭稼げなくなるし、もしかしたら敵が外に出てくるかもだしでいいことないですし。」
『なるほど』
『これも強いからこそできることだよなぁ…』
『そもそも探索者がすごいんだよ』
『たしかに、………ありがとう』
『ありがとう』
「おうおう。そう言われると照れるなぁ…。こっちこそ、配信見てくれてありがとな」
「そうですね。私のチャンネルに来てくれる人もいるみたいですし。ありがとうございます。」
『こっちも照れるだろ』
『俺たちが、星斗の役に立ってるってコト…?』
『配信は俺たちが見せてもらってるんだよなぁ…』
『今度はくーちゃんのチャンネルでも配信してください【¥30000】』
「おーん。時間があったらな。」
「え?来てくれないんですか?」
「うん。行くよ…。」
『よっしゃ!』
『3回目のコラボ確約!』
『私とのコラボまだですか【栗田アワ】』
『アワ様っ!!』
「アワ様ともコラボするから…?もう少し待ってください?」
「じゃあ行っくよー!」
っということで。第二回の恋華さんとのコラボ配信が始まったのであった。
_______
もう付き合え(投げやり)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます