好きだよ、センセ。
涼
第1話 雨の昇降口
(ザ――――!!!)
(激しい雨の打ち付ける音)
(カツカツ…コツコツ…)
(二つの靴音が重なる)
「わー! すごい雨だね、センセ」
「ヤッバ! 傘もない!!」
「もう、これ、歩いて帰るの無理だわ!」
「センセ、車っしょ?」
「送ってってよ」
「えぇ? だめぇ? なんでぇ?」
「教師と生徒だから?」
「あはは!」
「え? 何笑ってるのかって?」
「そんな事、今時いう人いるんだぁって!」
「あ、今時だから言うのか! そらそうだ!!」
「でもさぁ、この間、マキちゃんセンセの車には乗せてもらえたよ?」
「え? 俺は男だから?」
「んなの、関係ないよ!」
「こーんな土砂降りの雨の中、それも、か弱い女子生徒を、それも、こんな時間に、それも、たった一人で帰そうって言うの?」
(ざー!! ざー!! ざー!!)
(雨の量が増してくる)
「へ? なんでこんな時間になったかって?」
「あ~…まぁ、これは自分の責任なんだけど、追試だよ。つ・い・し!!」
「え!? それは自分が悪い?」
「んなの分かってるよ! でもさ、こんなに雨降ってて、傘なくて、もう、19時回ってるんだよ?」
「その生徒ほったらかして、どっか行っちゃうセンセの方が、どうかしてるって!!」
「なによぉ! そのしかめっ面!!」
「そんなに無理な事言ってるぅ!?」
「あー…、わかった!! センセ、女子に人気あるの、自覚してるんでしょ!?」
(顔を赤らめるセンセ)
「うわー!! 可愛い所あるね!! なんか意外!!」
「大人をからかうな? 何よ、大人ったって、センセ、まだ25歳じゃん」
「あたし、18歳だよ? ほとんど変わらないって! 今、18歳で成人だし?」
(バシャ―――――――!!!!)
(雨が勢いを増す)
「うっわ! これマジ無理!!」
(空を見上げるセンセ)
「え? 車、こっちに付けてくれる?うそ! マジで乗っけててくれるの!?」
「あたしがしつこく言ったから?そうだけどさぁ…。一理あるじゃん?」
「まぁ、早く! 車、持ってきてよ!! セ・ン・セ!!」
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