第16話 厄災、絶望、破滅へのカウントダウン④(家族)

 ???side

 家で若そうな女性がテーブルに食事を準備していた。


(今日はゴールデンウィーク前だけど、皆で食事をして行かないとね)


 テーブルには特上寿司、ピザ、オードブルが並んでいる。


(さて、あいつのはと)


 テーブル端っこ床に茶碗に残飯を雑においてある。


(これであいつのは充分でしょ)


 彼女は冷たい笑みを浮かべる。


(それにしても、あいつも景秋かげあきも遅いわね)


 イライラした表情を見せる。


(時期を見て離婚するのも良いかもね)


 彼女は今後の人生プランを考え始める。


(お、帰って来たかな)


 ドアが開く音がする。


(あれ?いつもならただいまと声が聞こえるのに反応がないね)


 彼女は違和感を感じながら待っていると景秋が入ってくる。


「あ」


 お帰りを言おうとするが景秋の顔色が青く、ズボンの真ん中が湿っていて、明らかに様子がおかしかった。


「あなた、何かあったの?」


 違和感をぬぐい去ろうと彼女は景秋に声を掛ける。


「……」


 彼女の声には反応せず無言で魂が抜けた様子で回りを見て床にある食事を見る。


「あ、あいつの食事よ」


 聞く前に彼女は景秋に話をする。


「……」


 景秋は床に置いてある食事を見て無言で震えながら床に正座で座り始める。


「あなた、何であいつの場所に座るの?」


「……数分後にお客様が来るから、俺はここに座って食べる」


 彼女の言葉を無視して景秋は話をする。


「あなた、お客様って誰?」


「……取引相手だ」


 景秋は疲れた表情で言う。


「取引相手来るなら何で床に座るの」


 景秋の行動に彼女は理解出来ずにいる。


「……取引相手に失礼をしてしまってな」


 景秋は震えながら答える。


「そうなのね」


景秋の様子を見る。


(いつも自信ありげに話をしている景秋が震えるっていったい何なの?取引相手って誰なの?)


 彼女は考えているとピンポンとチャイムがなる。


(どうやら来たようね)


 インターホンのカメラを確認し始める。


「え?」


 カメラを確認すると銀髪の子と赤いドレスを来た女性が立っていた。


(は?は?は?)


 赤いドレスの女性を見て彼女は冷や汗を出す。


「な、なんで?」


 取り乱して景秋に近づく。


「景秋いったい何をしたの!?」


 慌てた様子で景秋を問い詰める。


「……女神の逆鱗げきりんに触れたんだ」


 力のない声で景秋は答える。


「逆鱗っていったい何をしたのよ?」


 彼女は景秋を睨むように見る。


「……あいつに関してだ」


 景秋は弱った声で答える。


「え?あいつ?」


 景秋の答えを聞くと彼女にも恐怖が襲ってくる。


「ま、ま、ま、」


 声が出ず、逆鱗に触れた原因を理解して、カメラ越しに映る赤いドレスの女性を見る。


(な、なんで、日本に霧島霊歌きりしまれいかがいるの?)


 気が動転して、どうするかを必死に考える。


美矢みやちゃん、早く開けて欲しいな」


 優しい声でインターホンのスピーカー通して聞こえ始める。


(ひい、どうしてあたしの名前を逃げないと)


逃げようと美矢は窓に行こうとする。


「逃げたら、わたくしのおもちゃか奴隷になるのは確定だからね」


 霊歌の言葉を聞いて美矢は動きが止まる。


「大事な話をこれからしたいから開けて欲しいな」


 霊歌は甘くささやくような声を出す。


「……」


 美也は無言で近づき玄関前に行きドアを開ける。


「ハロハロ、美矢ちゃん」


 笑顔で美矢の目を見る。


「……あ、あの、用件は?」


 掠れて震えた声で美矢は聞く。


家庭訪問審判だよ」


 霊歌は冷たい笑みを浮かべて美矢を見る。





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 最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


 皆さんのおかげで7月22日の段階で週間ホラー10位に入ることが出来ました。


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 もし良かったら新作「感情を失った少年と女神。あなたの時間(人生)をいただきます」も連載していますのでよろしくお願いします。リンク↓です。

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