適当訳、三国志演義。

七生ナナナナ

三国志演義

第一回 宴桃園豪傑三結義 斬黃巾英雄首立功

第1話 001 第一話序




 臨江仙


 滔滔たる長江の流れは東へ

 波は英雄をすくい尽くす

 善悪成敗がいかになろうと

 かれらはもはや存在しない

 青き山々は今も

 夕日に映えている

 白髪の漁師は川面にて

 秋月春風にひたねる

 一壺の濁り酒とともに寄り逢えば

 古今のどんな出来事も

 すべて笑い話となる

             楊慎






  天下大勢、分久必合、合久必分。


 周代に争った七雄は秦となり、秦は滅び、楚漢が争い漢と成った。

 漢の高祖が白蛇を斬り義を起こしてより、天下は一つとなる。

 後に光武帝が中興しけん帝に至るも天下は再び三国に分かたれた。

 その由は凡そかん帝・れい帝によるであろう。

 清流を弾圧し、宦官を重用した桓帝が崩御した後、霊帝が即位する。

 大将軍竇武とうぶ、太傅陳蕃ちんばんが帝を補佐し宦官曹節そうせつらの排斥を図るも、

 曹節により反撃され竇武らは身を滅ぼした。

 これより愈々悪逆な宦官が栄えることとなる。



 建寧二年四月、宮殿で狂風が吹き一匹の大蛇が現れる。

 蛇ははりより落ち、霊帝は驚愕して倒れてしまった。百官も驚き逃げまどうが、少しの後、蛇は消え失せるも突然雷とひょうを伴う大雨が降り注ぎ、無数の家屋が損壊し夜まで止まなかった。

 建寧四年二月、洛陽で地震があり海が溢れ、沿海の民が海中に流された。

 光和元年には雌の鶏が雄になった。なにそれ怖い。

 六月には日食があり黒い煙が宮中に溢れた。なんだそれ。

 七月には宮殿に虹がかかった。綺麗。

 でも五平原の山岸が尽く崩壊したらしい。いみふ。

 これらの異常な出来事は一端に過ぎない。怖い。


 霊帝は群臣に怪異の理由を問うが、議郎の蔡邕さいようは「どう考えても宦官が悪いっしょ、あいつらが政治に口出すからよ」とはっきりぶっちゃけてしまう。

 溜息をつく霊帝。

 それを見ていた悪の宦官・曹節は蔡邕に罪を着せ追放してしまった。


 張讓ちょうじょう、趙忠、封諝、段圭、曹節、侯覽、蹇碩、程曠、夏惲、郭勝。

 彼ら十常侍と呼ばれる宦官は結託し、霊帝は張譲を「阿父」と呼ぶにまで至る。


 そして盗賊が蜂起する。

 ま、つまりはいよいよ国がぶっ壊れ始めたってこったな。




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用語解説


※周

 三国志の時代より400年前に存在した王朝。戦国時代末期まで続いた。

※戦国の七雄

 戦国時代に興隆した主要な強国。

※秦

 七雄の一国。長き戦国の世を勝ち抜き天下を平定した。

※漢

 秦の短い天下の後、高祖・劉邦が起こした国。三国志は後漢末期の時代である。

※白蛇

 高祖・劉邦が白蛇を斬り漢を興したという説話から。

※清流

 清流派。有体に言えばめっちゃマジメな高官。宦官と敵対する。

宦官かんがん

 去勢した男子の宮臣。元は身分が低いが帝に近く仕えるため権力を持つ。

太傅たいふ

 高位の官職。

中涓ちゅうけん

 宦官のこと。

※建寧二年

 西暦169年。

※光和元年

 西暦178年。

張讓ちょうじょう

 宦官・十常侍のリーダー格。取り合えずこいつの名前だけ覚えときゃいいです。

 ちなみに最初リーダーっぽかった曹節はこの後ろくに出ません。

阿父あふ

 我が父、とかそんな感じの意味。


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