俺の家がJDどもに侵略された

暁貴々@『校内三大美女のヒモ』書籍

本編

自宅編

第1話 おパンツ丸出しの女子大生

 夜風を切ってキックボードを走らせる。

 街灯の明かりだけを頼りにして。


 俺の散歩スタイルは小学生のときから変わっていない。

 幼稚園児の頃は三輪車に乗ってたんだけど、小、中、高と、キックボードオンリーだ。


 だってカッコいいじゃん?

 それに小回り利くし。


 今じゃすっかり慣れて、どんな道でもすいすい走れるようになった。


 闇の向こうから迫るドキドキワクワクを迎えに行くかのようにスピードを上げる。


 お? なんだあれは。

 でっかい置物か。


 いつものコースを走っていると、前方に大きなオブジェが見えてきた。

 巨大な人間の銅像みたいなものが電柱にもたれかかって『M字開脚』している。


 なんだろうアレ。

 近付いてみる。


 やっぱり人間っぽい。


 全身像だからよくわからないけど、多分女だ。


 服着てるみたいだし、生きてるんじゃないかこれ。

 こんな時間にこんな場所で何をしているんだろう。


 しかもこの人、スカートめくれてるし、パンツ丸見えじゃないか。

 パンツって言っても清純そうな純白のパンツじゃないぞ。


 きわどい黒レースだ。


 ああ、こらこら。

 動いちゃいけない。


 中の具までこんばんはしちゃうぞ。

 

 近所の大学に通ってる、女子大生かな。

 

 こんな美人さんでも酔い潰れるんだなーとか思ってると、ぬごっとその目が開いた。


 うおっ。

 

「ね~キミ~、ごっがら家どこだ~? づれでげぇ~」


 酔っぱらい特有の謎の言葉を発しながら、女子大生Aさんは手を伸ばしてくる。

 

 俺は思わずキックボードごと後ずさった。

 するとAさんの目つきが変わる。


 獲物を狙う肉食獣のような鋭い視線だ。


「わっがいね~ギミキミぃ、お姉ざんと不純性行じょぶべば?」


 舌足らずだけど意味は分かる。

 要するにオトナの関係になるお誘いだ。


 何言ってんだよこの人。

 初対面の男子高校生に対していきなりそれはないだろ。


 これは完全にできあがってるな。


 俺は無視を決め込んでキックボードを走らす。


 すいすーい。すいすーい。


 数分後、俺はお姉さんのところに戻ってきてこう言った。


「俺んちきます?」


 決して下心があったわけじゃない。

 断じて、パンツを見てムラムラしたわけではない。


 ただ放っておいたら被害者を出しそうだったからだ。

 


 しかしそれが間違いだったのだ。

 俺はこの日から毎日のようにタチの悪い女子大生どもに絡まれることになったのである……。

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