問題児アイドルグループのマネージャーになっちゃいました!?

陽菜花

プロローグ

あの時、初めて見た姿。



鳥肌が立つくらいきれいで、心を揺り動かされる透き通った歌声。

全身に感情表現がこもった、ブレのないダンス。

アイドルスマイルじゃない、心から笑っているキラキラの笑顔。

顔立ちの整った、思わず視線を奪われるビジュアル。



彼女の名前はカリナ。



誰もが彼女に夢中だった。

日本でも韓国でも圧倒的な人気を持っていた、デビュー候補生。



第1審査の個人オーディションでは、あの歌声で審査員を魅了し、当時の動画の再生回数はぶっちぎりの1位。

そのあとのオーディションでも彼女は余裕で合格した。

性格もものすごく良く、他の候補生からの信頼も厚く、そこも人気の1つだった。

最終オーディションは1位。



彼女はアイドルを、音楽を愛しているんだ。



僕は、そんな彼女に憧れて彼女と同じ事務所に入った。

……カリナと、同じステージに立ちたいから。

けど、練習はきつかった。

歌もダンスも未経験だった僕には辛かった。

そんな時はカリナの動画を見て励ましてもらっていた。



いつか必ずオーディションに合格する。

合格したら一旦、日本でアイドルとして活動できる。

カリナに会えるって、思ってた。



しかし、悲劇は起きた。

カリナたちのグループの日本デビューの1か月前。



カリナはグループを脱退し、事務所から姿を消した。



このニュースは日本でも、韓国でも話題になった。

いろいろな根拠のない噂が流れる中、カリナのグループメンバーと、事務所関係者、そして僕だけが脱退理由を知っていた。

今、どこにいるのかは分からない。



カリナ無しでグループはデビューしたが、人気はオーディション中より落ちていた。

カリナのことは誰も何も情報を言わなかったし、カリナの目撃、そっくり人物目撃情報もなかった。

しばらくすると、カリナのことは話題にならなくなった。



……あの時の、カリナの声は忘れられない。

胸がぎゅっと押し付けられるような絶望。



カリナにはもう、会えないのだろうか。

僕は、デビューメンバーにまでなれたのに。




会いたいよ、カリナ。

またキミのパフォーマンスを見たいよ。


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